David Malazonia _First Swallow_ (Intuition, INT3352-2, 2003, CD) - 1)Hangi 2)First Swallow 3)Kera 4)Lkhini 5)At Home (Part 1) 6)At Home (Part 2) 7)Adio 8)Acrobats 9)Eulenspiegel 10)Farewell - David Malazonia (piano,keyboards), Mamuka Gaganidze (vocals), Zurab Gagnidze (vocals), Pawle Kvachadze (bass), Gia Salagishvili (drums), David Japaridze (percussion); Dato Odzelashvili (flute), Andro Dgebuadze (vocal), Dato Alibegashvili (vocal), Ilia Osepashwili (vocal), Zurab Shavadze (oboe,doli), Alee Sloutski (violin), Jakob Neubauer (bajan), Merab Sanodze (doli), Waja Zenteradze (horn), Mirian Edilashvili (viola), Mindia Jgenti (cello); folk group "Urmuli" directed by David Kavtaradze. 黒海北東岸グルジア (Georgia) のトビリシ (Tbilisi) (旧称 チフリス (Tiflis)) の jazz rock バンド Adio の piano 奏者 David Malazonia の欧米デビュー作だ。 Zurab Gagnidze (The Black Sea Orchestra にも参加、現 The Shin) や Merab Sanodze といった Adio のメンバーも参加しているのだが、かなり大幅に 男声ポリフォニーというかスキャット/コーラスをフィーチャーした作品になっている。 Adio では bass を弾いている Gagnidze も vocals として参加しているのだが、 そもそも、1993年の Adio のライヴで5人のメンバーのうち3人が演奏を止めて ポリフォーニー的に歌い出したということが、このプロジェクトの最初のきっかけ だとのこと。グルジア的な節回しリズムを消化した jazz rock 的な演奏に、 伝統的なポリフォニーの要素を加えたもの、ということになる。Adio を聴いた ことが無いので、その演奏に比べてどの程度ポリフォニー的要素を加えたものに なっているのか判らないが。 グルジアの伝統的なポリフォニーは、Nonsuch や World Network からリリースの ある Rutsavi Choir や Real World からリリースのある Tsinandali Choir などで、 知られているが。ここで聴かれるものはもっとスムースなもので、1970s の fusion / jazz rock でフィーチャーされるスキャットに近く聴こえることも多い。 よく聴けば東欧〜中近東的と共通するような要素が聴く取れるが、Hermeto Pascoal や、Pau Brasil、Nucleo Contemporaneo といったレーベルからリリースされている Brazil の choro / jazz 物にかなり近い雰囲気の作品に仕上がっている。複合拍子 のリズムも軽くこなすキレの良い演奏で、そういう雰囲気も悪くないのだが。 ただ、ベストトラックというと、bajan (Russian accordion) や oboe の音色も folk / roots 色を強く感じさせる "Lkhini" を挙げたくなるのも確かなのだが。 硬めの軽い音のする打楽器 (おそらく伝統的な両面太鼓 doli) と弦楽器 (violin / viola / cello) の掛け合いもスリリングな "At Home (Part 2)" も気に入っている。 大手独立系レーベル Intuition のリリースで、今後の展開にも期待したい。 是非 Adio 名義でのリリースもして欲しいものだが、Zurab Gagnidze が参加した The Black Sea Orchestra のような多国籍ルーツ混淆物にも挑戦していって欲しい。 sources: Intuition, http://www.intuition-music.com/ The Black Sea Orchestra, _The Black Sea Project_ レビュー http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/02042501 2004/01/18 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/