先日、Steve Lacy が亡くなった。アメリカ出身で1950年代から活動していた。 soprano saxophone しか吹かない、それも Thelonius Monk の曲を好んで吹く、 ひょうひょうとした演奏が特徴的だった。 といっても、僕は free から post-free にかけての文脈での活動のものを 好んで聴いていた。特に、パリ (Paris, France) に移住してからの1970年代 から1980年代の Irene Aebi (violin) や Steve Potts (alto saxophone) と いった固定的な編成になってからの、 Steve Lacy Seven, _Prospectus_ (hatART, 2001, 1984, 2LP) や Steve Lacy Five, _The Way_ (hat Hut, 1980; hatART, CD2-6154, 1994, 2CD) が好きだった。 追悼ということで、そんな Lacy の最近の録音から、一枚ピックアップ。 Steve Lacy / Daniel Humair / Anthony Cox _Work_ (Sketch, SKE333028, 2002, CD) - 1)Bois D'Arbre 2)Snake Out 3)Tina's Tune 4)Oldenburg Bed 5)Resurection 6)Acrylic 7)Maputo 8)Sorcrelery 9)The Crust 10)In Walked But - Recorded 2002/5/29-31. - Steve Lacy (soprano saxophone), Daniel Humair (drums), Anthony Cox (doublebass). drums bass とのトリオという点でも Lacy にしては普通の jazz 的な編成なの だが、それが生きた録音だとも思う。特に、"Snake Out" のようなアップテンポの ドライブ感のある曲など、晩年の録音とは思えないほどの演奏を聴かせてくれる。 録音がとても良いのも嬉しい。 このドライブ感の鍵となっているのは bass の Cox だろう。ぶっとい音で ぐいぐい引っ張っていくだけでなく、"Acrylic" や "In Walked Bud" での歌う ようなソロもとても気持ちよい。1980年代の Marty Ehrlich などのバンドで 活躍した Pheeroan AkLaff (drums) とのリズム隊での録音や、1990年代の David Friedman (vibes) とのコンビでの録音など、Cox は大好きな bass 奏者 なのだが、このアルバムでの演奏は Cox の演奏の中でも良い方だろう。 フランスのベテラン drums 奏者 Humair もリズムキープするような叩き方は あまりしないが、bass が強烈な分だけ自由度が高くてもノリが失われない。 そこも気に入っている。 Lacy らしさという点ではちょっと違う面も見せているが、この晩年でこれだけ 勢いのある演奏をしていたというところも聴いて欲しい。 Steve Lacy, http://senators.free.fr/ Sketch Studio, http://www.sketch-studio.com/ 2004/06/13 嶋田 Trout Fsihing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/