Ale Moeller Band _Bodjal_ (Amigo, AMCD752, 2004, CD) - 1)Ilios 2)Dodjal 3)Styggen 4)Tango Greco/Vrisi 5)Tid Balkah 6)Dao Bidaai/Livadhia 7)Epese 8)Atlan Dok 9)Nje Pajem 10)Sandpolskan 11)Atlaz 12)Bachaar Larai 13)Xanalego - Produced by Ale Moeller. - Ale Moeller (mandola,lute,flutes,accordion,backing vocals), Maria Stellas (Greek vocals,req (tambourine),zilja (finger cymbals)), Mamadou Sene (West African vocals), Magnus Stinnerbom (fiddles,mandolin,tambourine), Sebastian Dube (double bass,backing vocals), Rafael Sida Huuizar (percussion); Shipra Nandy (Indian (Bengali) vocals) on 6,12; Kurash Sultan (Uyghur vocals,dutar (Uyghur lute)) on 8; Mats Oeberg (keyboards); Jonas Knutsson (baritone sax) on 1,8,12. ECM レーベルからもリリースがある Nordan や Frifot といったバンドで活躍する スウェーデン (Sweden) の folk/roots 〜 jazz のマルチ楽器奏者 Ale Moeller の 新作は、南米、アフリカ、アジアなど世界各地のミュージシャンを集めたバンドだ。 緊張感高くてカッコいいというものではないが、雑食性を強調せずに様々な要素の 織り込んだところが、ゆったりと楽しめる佳作だ。 西アフリカはセネガル (Senegal) の音楽の要素ももちろん耳を捉えるが、最も耳を 捉えるのはギリシャ (Greece) の folk の要素のように思う。その要素を感じ させるのは、リズムや旋律というのもあるが、楽器音ではなく、ギリシャ出身の 女性歌手 Stellas と、セネガル出身の Wolof と Serer で歌う男性歌手 Sene の 歌声の印象によるものだ。 このように、このアルバムの多様さを印象付けているのは、様々な歌声だ。ベンガル (Bengali) やウイグル(Uyghur) の歌声も色を加えているが、ここではギリシャの 歌声と親和性が高いように思う。個々の歌声には強い個性は感じないが、その おかげで、全体としてうまくまとまっているようにも思う。 楽器演奏に関していえば、Stinnerbom の fiddle の演奏に北欧の folk/roots の 要素を感じはするが、基調にあるという程ではない。インストゥルメンタルの展開も あるが、はっとするようなソロ演奏があるわけでもなく、歌声の伴奏や間奏という 感じだ。このアルバムで物足りないといえば、この演奏の印象の薄さかもしれない。 少し前のリリースになるが、スウェーデン発の多文化混成 folk/roots 物をもう一枚、 軽く紹介。 Ellika Frisell & Solo Cissokho _Tretakt Takissaba_ (Xource, XOUCD133, 2002, CD) - 1)Broedkakan / Kodinadioulou 2)Schottis Efter Per Myhr / Nouria 3)Takissaba Polska 4)Mama Tonkara 5)The Violin Is Waiting For The Kora 6)Konkoba 7)Lyckovalsen / Soum Soum 8)Bingjoepolskan / Dounia 9)Mambore / Traedgaardsvalsen 10)Lilla Laangdansen / Saara - Ellika Frisell (fiddle,viola), Solo Cissokho (vocals,kora). スウェデーンの fiddle 奏者 Frisell と、セネガル出身だがノルウェー (Norway) を拠点に活動する kora 奏者 Cissokho の2人によるデュオの作品だ。異なる文化 的文脈に属する二つの繊細な弦楽器のゆったりとしたテンポでのかけあいが生む、 適度な緊張感が心地好い作品だ。 北欧風の fiddle のフレーズも楽しめるが、特に派手な展開があるわけではない。 むしろ、西アフリカ風のゆったりと波打つように反覆する曲の展開が、じわじわと 効いてくるように思う。 sources: Amigo, http://www.amigo.se/ Xource, http://www.xource.com/ 2004/07/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/