Italian Swing Sisters _Delizioso_ (L'Empreinte Digitale, ED13167, 2004, CD) - 1)La Gelosia Non E Piu Di Moda 2)Tornerai 3)Ultimissime 4)Cammonando Sotto La Pioggia 5)Mon Dimenticar Le Mie Parole 6)Arriva Tazio 7)Ma.Dove E Quando 8)Tulipan 9)Pippo Non Lo Sa 10)Senti L'Eco 11)Tristezze Di San Luigi 12)Quel Fox Trot 13)La Canzone Del Boscaiolo 14)C'e Un'Orchestra Sincopata 15)Il Pinguino Innamorato 16)Maramao, Perche Sei Morto 17)L Valzer Della Fisarmonica - Artistic Direction: Corinne Vangysel. Recorded 2002/12 and 2003/9. - Catherine Catella (vocals), Maryam Chemirani (vocals), Mardjane Chemirani (vocals); Alexis Barrely (trumpet), Nicola Marinoni (side drum), Jean-Yves Avecassis (doublebass). 1930年代後半からファシズム政権下のイタリア (Italy) で活動した伝説的な 女性コーラストリオ Trio Lescano へのトリビュート作品だ。Trio Lescano に ついてはこの作品で知ったのだが、ライナーノーツによると、当時のアメリカ (US) の swing jazz の人気コーラストリオThe Andrew Sisters をモデルに結成された とのことだ。当時のイタリアでの jazz は、1938年にはラジオで放送できなくなり、 1940年には公式に上演禁止された、禁じられた音楽だった。Trio Lescano も政権を 皮肉った歌で人気を博したそうだが、1943年にはユダヤ人 (Jewish) ということで 追われ、終戦までにアルゼンチン (Argentine) に逃れたという。 といっても、そういう背景を知らずとも楽しめる作品だ。アドリブのスキャットが 多用されるモダンなものと違い、swing 期のコーラスということで、軽くハイトーン な女性歌手3人が織り成す華やかハーモニーが楽しめる作品だ。"sweet music" な 曲も魅力的だ。それに、trumpet/doublebass/side drum というミニマルなバックは 彼女たちのハーモニーを邪魔しないだけでなく、展開の小回りが効いていて、 3人の歌声の軽快さをとても生かしている。軽快な華やかさが楽しめる一枚だ。 ところで、この女性3人組、実はうち2人はヨーロッパに拠点を移して活躍する イラン (Iran) の打楽器 zarb の師 Djamchid Chemirani の娘 Maryam と Mardjane だ。Djamchid や兄弟の Bijan、Keyvan のイラン音楽のアルバムでも歌っているが、 全然違う音楽なので、かなり意外だった。 録音スタジオもレーベルも南フランスのプロバンス (Provence) で、イタリアでの 制作では無い。リリースしているレーベル L'Empreinte Digitale のカラーからして、 地中海音楽の一つとして再評価しようとしているように思う。 sources: The Andrew Sisters, http://www.cmgww.com/music/andrews/ 2004/10/11 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/