Savina Yannatou & Primavera En Salonico _Sumiglia_ (ECM, ECM1903, 2005, CD) - 1)Evga Mana Mou 2)Muineira 3)Yanno Yannovitse 4)Porondos Viz Partjan 5)Sedi Yanna 6)Orrio Tto Fengo 7)Ta Chervona Ta Kalinonka 8)Terra Ca Nun Senti 9)Sumiglia 10)Sta Kala Lu Serenu 11)Ganchum Em Yar Ari 12)Tulbah 13)Smarte Moj 14)Ela Ipne Ke Pare To - Produced by Manfre Eicher. Recorded 2004/5 at Rainbow Studio, Oslo. Engineer: Jan Erik Kongshaug. - Savina Yannatou (voice), Kostas Vomvolos (accordion,qanun,kalimba), Yannis Alexandris (tamboura,oud,guitar), Kyriakos Gouventas (violin,viola), Harris Lambrakis (nay), Michalis Siganidis (bass), Kostas Theodorou (percussion). 1994年にギリシャのテッサロニキ (Thessaloniki, Greece) で Sephard の音楽の 復元プロジェクトとして結成され、後に汎地中海に音楽性を広げたこのバンドの 5作目は、前作のライブ盤 _Terra Nostra_ (Lyra, ML5000, 2001, CD / ECM, ECM1856, 2003, CD) に続いて ECM からのリリースだ。前作はライセンス だったが、今回は制作から Eicher が手がけている。 今回の作品も基本的に汎地中海という音楽性は変わらず。西はスペインのガリシア (Galicia, Spain) やイタリアのコルシカ (Corsica, Italy)、東はパレスチナ (Palestina)、黒海沿いにウクライナ (Ukraine) やアルメニア (Armenia) といった 地域の音楽を取り上げている。そんなわけで、今までの作品同様に楽しめる作品に なっている。 ただ、ベストとも言える前作と比べると、全体的にパーカッシヴなニュアンスが 抑え気味になっている。弾けるような qanun の弦の音より持続的な accordion の リードの音が目立つような音作りになっている。打楽器奏者が Lefteris Ahgouridakis から、むしろ bass 奏者として知られる Kostas Theodorou に替わったというのも 一因かもしれない。 弦のアンサンブルを背景に Yannatou が詠唱するような展開になると、汎地中海的 というより、むしろ、ECM が多く制作してきた Nordic folk や中世古楽にすら ニュアンスが近く感じられる。 このような詠唱も美しいのだが、ブルガリア の "Sedi Yanna" でのバルカン風の 変拍子や、南イタリアの "Sta Kala Lu Serenu" での tarantella 風の展開など、 リズミカルな所の方が楽しめたように思う。シチリア (Sicily, Italy) の歌 "Terra Ca Nun Senti" のカンツォーネ的な歌唱も楽しめた。こういう曲は今まで ほとんど無かったが、もっと取り上げて欲しいように思う。 sources: Savina Yannatou & Primavera En Salonico, http://www.savinayannatou.com/ ECM, http://www.ecmrecords.com/ Savina Yannatou & Primavera En Salonico の前作までのレビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/03042001 2005/05/01 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html