Karlheinz Stockhausen 天王州アートスフィア, http://www.tennoz.co.jp/sphere/artsphere.htm 2005/06/25, 19:00-21:00 <東京の夏>音楽祭2005 関連企画で、電子音楽で知られるドイツの現代音楽家 Karlheinz Stockhausen が来日したので、観てきた。 _Licht-Bilder_ (2002) - Suzanne Stephens (basset-horn), Kathinka Pasveer (flute), Hubert Mayer (tenor), Marco Blaauw (trumpet), Antonio Perez Abellan (synthesizer), Karlheinz Stockhausen (sound projection). _Licht-Bilder_ (2002) は Stockhausen のライフワークとも言われている超大作 _Licht_ の一部だ。(といっても、残念ながら _Licht_ の他の演奏を録音ででも 聞いたことはない)。 total serialism 〜 music concrete の禁欲的なイメージが強い Stockhausen だが、 opera というせいか意外とシャレ気感じる作り。判りやすいメロディやリズムが あるわけでないがが、 Mauricio Kagel あたりの post-modern な作品に近い印象も 受けた。 trumpet や basset-horn には ring modulator を付けていたし、クレジットによると synthesizer 奏者もいて、Stockhausen 自身による sound projection もあった ようだが、その手の音弄りがほとんど感じられなかった。 といっても、管楽器と人の声の響きがけっこう気持ち良かったし、舞台に動きも あって普通に楽しめた。歌手だけでなく演奏者もゆっくり旋回するようにステップを 踏みながら演奏するので、opera というより music theater っぽい感もあった。 会場の制約もあったのかもしれないですが、タイトルが『光-絵』なのに初演では あったという映像投影が無かったのはちょっと残念。 _Kontakte_ (1958/60) - Karlheinz Stockhausen (sound projection). 電子音楽の名曲として知られるこの曲、当時の機材でも持ち込むのかと期待した所も あったが、置いてあった機材を見た限りでは、それは無かったよう。客席中央に Stockhausen のオペレーション席を設けて、ステージ後方中央上方に丸く白い光を 投影しただけの禁欲的な演出による演奏だった。 音色等はCDで聴くのとたいして変わらず、楽譜できちんと指定されているのだろう。 5.1ch DVD audio 音源をただそのまま流していたとしても、判らないかもしれない。 Stockhausen 自身のオペレーションの有難味っていったい何なんだろうか、と 思ってしまった。 しかし、サラウンドもノイズ的な音の利用も一般化してしまった今の耳で聴くと、 前衛的とか難解とかそういう印象は全く受けない。音使いなどのセンスが良いように 感じたが、そもそも、そういう価値判断の原点に Stockhausen がいるのだろう。 sources: <東京の夏>音楽祭, http://www.arion-edo.org/tsf/index.jsp Karlheinz Stockhausen, http://www.stockhausen.org/ 2005/06/25 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html