Patrick Bouffard Transept _Second Prelude_ (Modal / Plein Jeu, MPJ111038, 2005, CD) - 1)9/4 Rue De La Treille 2)La Complainte Des Infideles 3)Saphir 4)La Petite Bergeronnette / La Libannaise 5)L'Amour Captif 6)7 Ans Passant / D'Une Rive A L'Autre 7)Nuba 8)Bleu Avril 9)Choral No.1 10)Les 3 Brandons 11)Les Fourmis 12)Polka De L'Anglard - Recorded 2004/4. Artistic direction by Patrick Bouffard. - Patrick Bouffard (vielle), Abdelati El Boussehabi (derbouka, bendhir, pote), Gabriel Fernandez (oud, cajon, soprano saxophone), Anne-Lise Foy (vielle, chant), Leonore Grollemund (violincello, chant), Benoit Mager (cornemuse 20 pouces), Stephane Robert (trombone, bass guitar). フランスの中央部、オーヴェルニュ地方 (Auvergne。主邑はクレルモンフェラン (Clermont-Ferrand)) を拠点に活動する vielle a roue (hurdy-gurdy) 奏者 Patrick Bouffard が2000年前後から率いているのバンドが Transept だ。 _TranSept_ (Modal / Plein Jeu, MPJ111017, 2001, CD) に続く2作目だ。 オーベルニュやベリー (Berry、現サントル地方 (Centre) の南東部。主邑は ブルージュ (Bourges)) などの民俗音楽だけではなく、oud や bendhir も加え、 マグレブ (Maghreb) やアラブ=アンダルース (Arab-Andarouse) の音楽の要素も 感じさせる汎地中海的な音楽を、歯切れの良い同時代的な演奏で聴かせるバンドだ。 vielle や cornemuse のビービージージーいう音を歯切れ良く鳴らし、darbouka の 刻む硬質で軽快なビートに乗せていく。そんな基本的な音楽性は前作と変わらない。 そして、そこがこのバンドの一番の魅力だ。 大きく変わった点は、diatonic accordion の Cyril Roche が抜け、代わりに violincello の Leonore Grollemund が参加したこと。J. S. Bach の "CHoral No.1" や Grollemund 作の "Fes Fourmis" のような彼女の cello や 歌声をフィーチャーした曲もある。前作には無かった classical というか Early Music 的な雰囲気も加わったようで、それも面白く感じられる。 また、cornemuse や vielle の響きが整理され、trombone がぐっと表に出た ように思う。"L'Amour Captif" や "7 Ans Passant / D'Une Rive A L'Autre" など brass band 的な展開も楽しめるし、"La Complainte Des Infideles" や "Les Fourmis" でのカウンター的なフレーズも良いアクセントになっている。 ハイトーンな Foy の歌声に対し、低めの Grollemund の歌声が加わり、歌入りの 曲も4曲に増えている。それなりに知られた歌だが、前作に収録された "Sous Le Ciel De Paris" 程キャッチのある歌ではないのは、少々惜しいか。 前作のような汎地中海的な明るさ、燐きは控えめになったようにも思うが、 前作同様、お薦めの作品だ。 Tend'M _Tend'M_ (Modal / Plein Jeu, MPJ111036, 2005, CD) - 1)Vielle du Berry - Vendanges 2)Le Grand Village - Myrtille 3)La Fille Du Roy Dans La Tour 4)Hopa - Turbulence Bleue 5)Chanterelle - George Sand 6)Parfum De Gitane 7)Indifference 8)Avalanche - Changement De Ton 9)Krummshots 10)Comptinette - Les Vergers 11)Crepuscule - Brume Matinale 12)Ronds Dans L'Eau - La Borderie - Recorded 2004/10. - Anne-Lise Foy (vielle a roue, chant), Laurence Pinchemaille (vielle a roue), Stephane Arbon (contrabass, guitar), Leonore Grollemund (violincello). Tend'M は Transept の女性 vielle 奏者 / 歌手の Foy が作った女性3人 男性1人の 4tet。Transept に新加入した Grollemund も参加している。 彼女らが初のCDをリリースしている。 vielle のせいもあり中部フランス風に聴こえることも多いとはいえ、演奏して いる曲は、メンバーによる自作曲が多い。doublebass でビチカートが多用 されていることもあり、少々 jazz 的なニュアンスが強く感じられる。特に、 vielle の音を整理して contrabass のフレーズを目立たせた "Perfume De Gitane" のような曲は良いように思う。しかし、弦のみの編成ということもあり、若干 もたつくように感じられる時もあって、惜しい。 "Parfum De Gitane" はチュニジア (Tunisia) 出身の Anour Brahem の曲なのだが、 この曲を含め、Transept で聴かれるようなアラブ=アンダルースやマグレブの 音楽的要素がほとんど聴かれないのも、残念なところだ。 歌をフィーチャーしているのも2曲。フェミニンなジャケット・デザインに比べ、 音は少々掴みに欠けるところもあるのは、惜しいところだ。 sources: Patrick Bouffard at AMTA (Agence des Musiques Traditionnelles en Auvergne), http://www.amta.com.fr/fr/musiciens/musicien.asp?codemusicien=16 Tend'M at AMTA, http://www.amta.com.fr/fr/musiciens/groupe.asp?codegroupe=81 Modal at FAMDT (Federation des Associations de Musiques & Danses Traditionnelles), http://www.famdt.com/ Patrick Bouffard, _Transept_ のレビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/02101401 2005/11/25 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html