Arve Henriksen 新宿 Pit Inn (新宿) 2005/12/03, 21:30-22:30 - Arve Henriksen (trumpet, live electronics); Motif: Atle Nymo (tenor saxophone, bass clarinet), Goran Kajfes (trumpet), Ole Morten Vaagan (bass), Haavard Wiik (piano), Haakon Mjaaset Johansen (drums). Supersilent や Food といったバンドで活動する一方、_Sakuteiki_ (Rune Grammofon, RCD2012, 2001, CD) や _Chiaroscuro_ (Rune Grammofon, RCD2037, 2004, CD) と いったソロ/リーダー作もリリースしているノルウェー (Norway) の trumpet 奏者の ソロライブは、繊細な音弄りで作り出す音空間も抽象に走り過ぎず、むしろ客弄りも 楽しいライヴだった。 マウスピースを強く鳴らさず、もしくは、マウスピースを使わずに出す Henriksen の trumpet の音は、空気が抜ける微かな音やとも違う音で、抽象的というよりも、 ram's horn の音を trumpet で模したようでもある。live electronics によって 深い残響をかけられ、風音のように音が重ねられて行くと、まるで森林の奧から ram's horn が響いてくるような感すらある。そして、彼の歌声も、抽象的なものと いうより、folk 的な唸り声だ。Motif を交えての演奏の直前に演った bamboo flute 風の楽器を使った曲など、足踏の音や手拍子も交え、とても folk 的な盛り上がり だった。Supersilent 的というよりも、むしろ、Terje Isungset らと一緒に演って いるときの folk/roots 指向の強い Henriksen だな、とも思った。 Henriksen / Isungset / Seglem, _DAA_ (NOR-CD, 0039, 2000, CD) や Terje Isungset, _Iceman Is_ (Jazzland, 864 458-2, 2002, CD)、もしくは、 London Jazz Festival 2003 での Henriksen - Isungset duo を聴いていて、 いったいどうやって音を出しているのだろうと思う一方、音だけでは少々タレ流し に感じるところもあった。しかし、実際に目の前で音を出しているのを観ると、 客弄りによって音の場を作り出していく感もあって、とても楽しめるものであった。 特に、風切り音のような音を出させたり、羊や牛の鳴声を真似させたり、手拍子や 足踏を促したり、客弄りが多かったことは少々意外でもあった。また、音の場の 構成する一つとしてのMCにもユーモアがあった。こういう所は、ラップトップに 向かいっぱなしな1990年代の electronica との違いを感じた。 ノルウェーの jazz 5tet の Motif を迎えてアンコール前にやった一曲は、さすがに free jazz 色が濃いものであった。これも悪くないが、Henriksen の音が少々埋没 してしまったかな、とも感じた。むしろ、Terje Isungset 界隈と一緒に演る所を 観たかったように思う。 sources: Arve Henriksen, http://www.arvehenriksen.no/ Rune Grammofon, http://www.runegrammofon.com/ 2005/12/04 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html