Hardcell
_Feign_
(Screwgun, SC70015, 2005, CD)
- 1)I Do It (For Brookti) 2)Time Laugh 3)Brokelyn 4)Mechanicals Failure
5)My First Phone 6)BG...oh...OH 7)I Thought You Had It 8)Pan/Ex
- Produced by David Torn / Hector Castillo.  Recorded live to 2 track.
- Tim Berne (alto saxophone), Tom Rainey (drums), Craig Taborn (piano).

1980年代に NY down town jazz / improv. シーンらら出てきた alto/baritone
saxophone 奏者 Tim Bernes の keyboards / drums の bass-less trio Hardcell
の新録がリリースされている。

_The Shell Game_ (Thirsty Ear / The Blue Series, THI57099.2, 2001, CD)
では piano を使わず electric な作品だったが、去年にリリースされた
_Electric And Acoustic Hard Cell Live_ (Screwgun, SC70014, 2004, CD) では
piano を導入。新作は、piano のみの acoustic な作品になった。

_Electric And Acoustic Hard Cell Live_ では、手数の多いパーカッシヴな
piano もあり、1970年代の bass-less piano trio のような雰囲気の曲もあった。
しかし、この作品では、Berne の拍子の変化や旋律の飛躍の多い作曲を生かし、
piano も強い音を多用しながら手数を抑え間合いを生かした演奏が多い。

"Mechanical Failure" の後半など1970年代っぽいとは思う。しかし、"Brokelyn" や
"BG...oh...OH" では、saxophone / drums が熱くなっても、piano は強いながら
手数には走らない抑制された感がある。さすが1990年代を通過した後の bass-less
piano trio だと思う。それが、そのコントラストも面白く感じられる。

1990年前後に Berne が参加していた cello / drums との trio Miniature の
cello を piano に置き換えたような音と感じるときもあり、新しい試みをしている
というほどではないが、bass-less piano trio という1970年代的な free jazz 編成
ながら Tim Berne らしさを楽しめる佳作だろう。

Paraphrase
_Pre-emptive Denial_
(Screwgun, SC70016, 2005, CD)
- 1)Trading On All Fours 2)We Bow To Royalties
- Recorded live 2005/05.
- Tim Berne (saxophones), Drew Gress (bass), Tom Rainey (drums).

Miniture や Hardcell、Big Satan といったプロジェクトが Tim Berne の「静」の
面だとすると、bass の加わる Bloodcount やこの Paraphrase は「動」の面だ。
しかし、最近「静」のリリースが続いており、今世紀に入ってから「動」のリリース
は無かった。Paraphrase としては、_Please Advise_ (Screwgun, SC70011, 1999, CD)
以来6年ぶりのリリースだ。

Hardcell の Taborn (piano) を Gress (bass) で置き換えた編成だが、Berne も
こちらでは baritone saxophone も吹いており、ぐっと低音の効いた迫力のある音に
になっている。Hardcell のような間合いのある展開もあるが、この低音の迫力の
せいもあって、Hardcell より激しい掛け合いが楽しめる作品だ。

sources:
Tim Berne / Screwgun, http://www.screwgunrecords.com/

2005/12/11
嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html