Various Artists _Congotronics 2: Buzz'n'Rumble From The Urb'n'Jungle_ (CramWorld / Crammed, CRAW29, 2005, CD+DVD) - CD: 1)Wa Muluendu (Masanka Sankayi + Kasai Allstars feat. Mutumilayi) 2)Koyile / Nyeka Nyeka (Kasai Allstars feat. Tandjodo) 3)Kiwembo (Sobanza Mimanisa) 4)Kabuangoyi (Kasai Allsters feat. Muambuyi) 5)Soif Conjugale (Kisanzi Congo) 6)Le Laboureur (Masanka Sankayi feat. Kabondo Tshisensa) 7)Bosamba Ndeke (Bolia We Ndenge) 8)Mulume (Basokin feat. Mi Amor) 9)T.P. Couleur Cafe (Konono No.1) DVD: Sabanza Mimanisa, Kasai Allstars, Bolia W Ndenge, Basokin, Basokin, Tutu, Konono No.1. コンゴ民主共和国 (Democratic Republic of Congo, DRC; 旧ザイール (Zaire)) の DIY 的に電化された伝統的なトランス音楽のアルバム Konono No.1, _Congotronics_ (CramWorld / Crammed Discs, CRAW27, 2004, CD) の続編がDVD付きでリリース されている。ローテクな電化によって歪んだ likembe (親指ピアノ) の音色など、 _Congotronics_ 同様、テクノロジーと伝統的な楽器の出合が生む歪みの泥臭さが 楽しめる作品になっているし、DVDで実際の演奏風景が観られるという点でも、 とても興味深い作品だ。 Konono No.1 は首都キンシャサ (Kinshasa) 近郊から出てきたバンドだが、ここに 収録されている演奏も全てキンシャサで録音されている。しかし、バックグラウンド はコンゴ各地に広がっている。シーンとして成立しているというより、個別自然 発生的にローテクな電化が試みられてきた結果のようにも聴こえる。そして、 こうして並べて聴くと、Konono No.1 は最も都会的て垢抜けているように感じられた。 Konono No.1 に近く感じたのは、バコンゴ州ンベコ地方 (Nbeko, Bacongo) で活動 する Kisanzi Congo や、同じくバコンゴ州出身の Sobanza Mimanisa だ。 バゾンボ (Bazombo) 系の Konono No.1 のようなトランスっぽさはなく、 Zairean rhumba に近い回転するようなスイング感のあるリズムを持っている。 それも気に入った。 CDに多く収録されている Kasai Allstars は、カサイ (Kasai) 州一帯から来た ミュージシャンたちによる集団だ。共演している Masanka Sankayi も東カサイ出身。 彼らはあまり電化度が高くなく、likembe のディストーションも、むしろ、サワリに 近いものだ。アコースティックなサワリから電気的なディストーションへの連続性を 感じるという意味で興味深い。カサイの東端ソンギエ (Songye) 出身の Basokon は likembe も使っているがメインは guitar。このカサイ系のバンド達は、ベコンゴ系 に比べ、ディストーション使いもアコースティックと電化の中間で、衣装や化粧も 伝統的なものに近く感じられた。 バンドゥンドゥ (Bandundu) 州マイ・ンドンベ (Mai Ndombe) 湖周辺出身の Bolia We Ndenge、バブンダ (Babunda) 地方出身の Tutu となると、もっと伝統的で、 儀式というか芝居がかったパフォーマンスを伴うものになっている。Bolia We Ndenge は、電化で歪んだ likembe ではなく、guitar でもなく、accordion が likembe 相当 の楽器となっている。(ライナーノーツによると、guitar が流行るまでは accordion もポピュラーだったそうだ。) また、伝統的な衣装の女性ダンサーと軍服の男性 パフォーマーの取り合わせも面白い。Tulu の方は、ビリンバウ風の楽器やサーディン の空き缶とスプリングを組み合わせた鳴り物 (まるで 鈴木 昭男 の アナラポス の DIY版のよう) が興味深かった。 音だけ聴いているよりも、DVDで映像を見ていると、どのように音を作っているのか、 どのような衣装、化粧をして、どのように踊っているのかも判り、それぞれの ミュージシャンの違いもよく判ったように感じた。コンゴの文化は (音楽だけでなく、 衣装や舞踊も) あまり馴染の無いものだけに、DVD付きなのはとても良いと思う。 今後の CramWorld のリリースもこのようなスタイルのリリースを期待したい。 ちなみに、このCDの音源は、Powerbook G4 laptop で録音し、Macintosh G5 で ミックスしたという。コンピュータやデジタル周辺機器の小型化、廉価化によって、 このようなフィールド録音・録画やCD・DVDオーサリングが容易になっていることが、 このような CD+DVD セットのリリースを可能にしているのだろう。今後、このような リリースが増えるのだろうとも思う。 sources: Congotronics at Crammed, http://www.crammed.be/congotronics/ 2005/12/25 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html