Mariana Baraj _Deslumbre_ (Los Anos Luz, LAL036, 2005, CD) - 1)Ya Viene La Triste Noche 2)Gatitito 'E Las Penas 3)Merceditas 4)Dorotea La Cautiva 5)Chacarera Santiaguena 6)Tonade De Otono 7)Conmigo 8)Lejos 9)Dona Ubenza 10)Coplas Quebradenas 11)Jantun Illimani 12)Corazon Maldito 13)Los Ejes De Mi Carreta 14)El 180 - Recorded 2005/3/4-9. Artistic production: Ernesto Jodos and Mariana Baraj. - Rodrigo Dominguez (tenor and soprano saxophones, clarinet, percussion), Carto Brandan (drums, percussion), Jeronimo Carmona (contrabass), Juan Pablo Arredondo (electric, nylon and 12-strings guitars), Mariana Baraj (voice, percussion). 1990年代からアルゼンチンはブエノス・アイレス (Buenos Aires, Argentine) の インデペンデントな音楽シーンで活動してきた女性歌手 / percussion 奏者の _Lumbre_ (BAU, BAU1139, 2002, CD) に続く第2作が、この _Deslumbre_ だ。 BAU (Buenos Aires Underground) から Los Anos Luz へレーベルは変わったが、 前作同様、アルゼンチン発の同時代的な folk/roots 指向の jazz / improv の 佳作に仕上っている。 音数少なめのバックに Balaj が中音域真っ直な声で淡々と歌う作品という点で、 前作と大きく変わらない。チリ (Chile) の Violeta Parra ("Corazon Maldito") や アルゼンチンの Atahualpa Yupangui ("Los Ejes De Mi Carreta" ) といった folklore / nueva cancion の有名所の歌も取り上げているように、歌のベースは folklore だ。 バックは guitar と drums が前作と替わったが、1管 guitar 入りの 4tet という 編成は変わらず。jazz、それも、swing するような four beat というものではなく、 むしろ、NY down town シーンのようなギクシャク気味の展開の演奏だ。前作もそう だったが、この作品でより徹底されたようにも感じる。特に、新加入の Arredondo の Bill Frisell か Marc Ducret を思わせる guitar フレーズの効果が大きい。 伴奏するというより、むしろ、Baraj の歌声と間合いを取りつつ掛け合うという 感じだ。Baraj の歌声だけでは平板過ぎるし不安定に感じる所もあるが、その周りの 演奏の間合いと突込みが緊張感が作り出している。特に、"Gaititito 'E Las Penas" のような曲が気に入っている。 Juan Pablo Arredondo _Lo Que Las Paredes Oyen_ (BAU, BAU1153, 2004, CD) - 1)Distraido 2)Cartoon 3)Libelulas 4)Labina 5)El Mar En Sus Ojos 6)Mariposa 7)Espejo En El Suelo 8)El Lagarto 9)Lo Que Las Paredes Oyen - Recorded 2004/1/29,30. - Juan Pablo Arredondo (guitar), Joronimo Carmona (contrabass), Carto Brandan (drums); Rodrigo Dominguez (clarinet), Enrique Norris (cornet, pigmeum horn), Alberto Garaton (tenor saxophone). Baraj の _Deslumbre_ のバックに新参加した Arredondo の去年リリースされた リーダー作は、核となる trio の Carmona (contrabass) と Brandan (drums) も ゲストの Dominguez (clarinet) も _Deslumbre_ のメンバー。_Deslumbre_ の バックのミュージシャンによる作品だ。といっても、folk/roots の色は全く無いし、 リーダーの Arredondo が大きくフィーチャーされた作品になっている。 guitar / contrabass / drums だが、手数の多い power trio 的な演奏ではなく、 Arredondo の Frisell を思わすような guitar もあって、むしろ、間合いと浮遊感 を生かした演奏になっている。特にゲストの管が加わった曲の、ギクシャクした リズムや飛躍の多いフレーズなど、Tim Berne や Chris Speed、Dave Douglas あたりのリーダー作として NY down town シーンから出てきそうな音だ。 そういう点が気に入っている所でもあるのだが、Arredondo らしいもう一癖何かが 欲しいようにも思う点でもある。しかし、それは、BAU や Los Anos Luz といった レーベル界隈のブエノスアイレスのシーンを含め、今後の展開をの中に期待したい。 sources: Mariana Baraj, http://www.marianabaraj.com.ar/ Los Anos Luz, http://www.laldiscos.com/ BAU (Buenos Aires Underground), http://www.baurecords.com.ar/ Mariana Baraj, _Lumbre_ レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/05091101 2005/12/31 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html