Lola Lafon & Leva _...Grandir A L'Envers De Rien_ (Bleu Electric / Label Bleu, LB4010, 2005, CD) - 1)Mon Ame 2)La Bilan De Competence 3)Completement A L'Ouest 4)Drole De Rage 5)Lele Jano (Et Meme Si Le Monde Est De Pierre) 6)A Quel Age 7)L'Euro L'Otan L'Atome 8)Les Steppes Claires 9)Paint It, Black 10)Decolere 11)Yulay (...Et Les Fantomes N'Existent Pas) 12)Decongele Tes Reves 13)L'Aube Nouvelle - Recorded and Produced by Bob Coke. - Ivica Bodganic (accordion, keyboards), Lola Lafon (vocals, chorus, guitar, samples), Olivier Lambert (samples, programming, electric & acoustic guitars, e-bows), Julien Rieu de Pay (electric bass, acoustic bass), Marc Savev (electric & acoustic guitars, bouzouki, e-bows); Romain Garriot (electric & acoustic guitars, bass, gardon), Christian Olivier (vocals), Bob Coke (guitar, bass), Tarik Benouarka (drums, bodhran, bendir), Francois Domergue (drums), Laurent Ghenin (daf, drums). Lora Lafon はフランス系のベラルーシ人 (French Belarussian) で、子供時代を ルーマニア (Romania) やブルガリア (Bulgaria) で過ごしたという背景を持つ、 フランスを拠点に活動する女性シンガーソングライターだ。Lafon が1999年から 活動を共にしているというバンド Leva は、セルビア人 (Serbian) の Bodganic、 マケドニア人 (Macedonian) の Savev、フランス人の de Pay、ベルギー人 (Belgian) の Lambert という多国籍のグループだ。 また、Lafon は _Une Fievre Impossible A Negocier_ (Flammarion, 2003) という 歌のスコア付きの小説を発表。このアルバムで2曲歌っている Christian Olivier のバンド Tete Raides の前座で朗読ライブを行ったりしていたという。 このアルバムには、この小説に収録された歌も収録されている。 electronica 的な音弄りをした guitar と accordion を中心とした音数少なめな 演奏をバックに Lafon が歌うそのスタイルは、US/UK indie の free folk 的な SSW 面が強いし、chancon / musette 的な面もある。しかし、Lafon や Leva の メンバーのバックグラウンドから想像されるよう、東欧 の folk の雰囲気を感じ させる時が多い。特に、accordion の節回しが musette というより東欧的の ように思う。 samples / programming 担当のメンバーがいるが、club music 的なビートは 使っていない。drums が類型的な8ビートを刻むこともない。音数少なめに guitar や accordion、percussion の音色を生かしつつ、その音をさりげなく歪ませたり、 効果音的な電子音も交えて、立体的に音を配している。そういった音作りも 気に入っている。 Lafon の歌唱は少々不安定に呟くようなものが多く巧いとは言い難いが、適度な 緊張感も感じるし、サウンドの雰囲気に合っている。もっと強い歌唱の方が好み だけれども、これも悪くない。 ちなみに、制作は、Ben Harper, _Fight For Your Mind_ (1995) や Souad Massi, _Raoui_ (2003) の Bob Coke だ。 このアルバムの聴き所は、1937年にデビューし1960年代初頭まで活躍したルーマニア の伝説的な女性歌手 Maria Tanase の "Cine Iubeste Si Lasa" の改作の8曲目 "Les Steppes Claires" から、The Rolling Stones のカヴァーの9曲目 "Paint It, Black" にかけてだろう。Tanase の曲から自然に繋がるように まるで東欧 folk のような accordion で始まる "Paint It, Black" は、途中で rock 的に急にテンポを変えるようなことはせず、淡々と少しずつ加熱する。 このバンドをコンセプトがよくわかるようなカヴァーだ。 伝承曲の改作である "Lele Jano" や "Yulay"、"Decongele Tes Reves" も東欧〜 バルカン的な雰囲気が印象に残って気に入っている。その一方で、自作曲も、 "Mon Ame" や "Drole De Rage" など気に入っている曲もあるが、カヴァーや 伝承曲に比べて印象が薄くなってしまっているのが、残念なところだろうか。 sources: Lola Lafon & Leva, http://www.lolalafon-et-leva.net/ Label Bleu, http://www.label-bleu.com/ Lola Lafon & Leva at Label Bleu, http://www.label-bleu.com/artist.php?lng=e&artist_id=137 2006/02/26 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html