Nik Baertsch's Ronin _Stoa_ (ECM, ECM1939, 2006, CD) - 1)Modul 36 2)Modul 35 3)Modul 32 4)Modul 33 5)Modul 38_17 - Recorded 2005/5. - Nik Baertsch (piano, fender rhodes), Sha (contrabass and bass clarinets), Bjoern Meyer (bass), Kasper Rast (drums), Andi Pupato (percussion). Nik Baertsch は1990s末にスイスはチューリヒ (Zurich, Switzerland) から 出てきた piano 奏者だ。今までベルン (Bern, CH) のレーベル Tonus-Music から 6枚のリーダー作をリリースしており、この7作目の _Stoa_ は Tonus-Music 以外 からの初リーダー作となる。7作通して "Ritual Groove Music" と副題 (1作目は タイトル) が付けられており、_Stoa_ の副題は "Ritual Groove Music 7" だ。 去年10月トリオ編成の Mobile での来日公演を観ているが、この作品は5tet編成の Ronin によるもの。しかし、この二者の間でコンセプトや音作りは大きく変わって いないように聴こえる。 ECM レーベルからのリリースからも判るように、jazz/improv 〜 new music に 近い文脈から出てきたミュージシャンだが、即興的なフレージングで聴かせるの ではなく、反復感を強調した演奏を聴かせる。それも、new music における minimal music ほど厳格ではなく、反復させるフレーズの入り抜け等からそれなりの 展開を感じさせる。副題に "Groove" とあり、自らの音楽を "zen funk" と自称 しているように、techno/house のような曲をアコースティックな楽器を使い人力で 演奏しているという感じだ。それも、IDM に近く、"funk" ではなく "zen" に 強勢があるように思う。ニューヨーク (New York, NY, USA) の John Hollenbeck 率いる The Claudia Quartet に近いが、もっと音数を抑えて音の間合いを 生かしたストイックな音作りだ。 音数を抑えた反復感を強調した演奏もあって、曲や演奏の展開というよりも、 個々の音に耳が行く。残響を抑えて鍵盤を感じるような高音域や華やか目に響か せる中音域の piano の音、リズムを刻むような contrabass/bass clarinet の アタック音、金属音などの硬質な音を多用する打楽器など、個々の響きが反復と 通して粗目のテクスチャとなっていくかのような所が、気持ちよい。個々の アコースティックな楽器音を生かす ECM の音作りに、巧くはまっている。 生演奏というコンセプトという点でもライヴも面白いと思うが、CDのような メディアで半ば B.G.M. のような形で聴く方がはまるようにも感じられた。 惜しいと感じた点を強いて挙げれば、Mobile に無く Ronin に参加している bass の 影がいまいち薄く感じられるところだろうか。グルーヴ感には貢献していると思うが、 もう少し目立つフレーズを聴かせて欲しかったように思う。 sources: Nik Baertsch, http://www.nikbaertsch.com/ ECM, http://www.ecmrecords.com/ Tonus-Music, http://www.tonus-music-records.com/ Nik Baertsch, _Stoa_ @ ECM, http://www.ecmrecords.com/Catalogue/ECM/1900/1939.php Nik Baertsch's Mobile, _Perpetual Rhythm_ @ SuperDeluxe (2006/10/13) レビュー http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/05101301 2006/04/09 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html