Peter Epstein / Brad Shepik / Matt Kilmer _Lingua Franca_ (Songlines, SGLSA1555-2, 2005, SACD) - 1)Two Door 2)Miro 3)Emerald 4)Temoin 5)Here & There 6)Monsaraz 7)Kumanovo 8)Sunrise 9)Meditation; bonus track on CD layer)Improvisaton 1 - Produced by Peter Epstein & Brad Shepik. Recorded 2003/8/24. - Peter Epstein (alto and soprano saxophone), Brad Shepik (guitars), Matt Kilmer (percussion). Brad Shepik は1980年代にUS西海岸シアトル (Seatle, WA, USA) で活動を始めた jazz / improv の文脈で活動する guitar 奏者だ。1990年に拠点をニューヨーク (New York, NY, USA) へ拠点を移し、down town シーンで活躍している。 Paul Motian Electric Be Pop Trio のような jazz 色濃いグループや Tiny Bell Trio や Babkas のような improv 色濃いグループだけでなく、 Pachora や Paradox Trio といった地中海 (Mediterranean) folk/roots の影響を 受けた音楽をやるグループに参加してきている。自分自身の率いる 5tet の Brad Shepik Group (ex The Commuters) も、Pachora や Paradox Trio と同様の 指向を持つグループだ。 ポートランド (Portland, OG, USA) 出身の Peter Epstein も1990年代から ニューヨークを拠点に活動する jazz / improv 文脈の saxophone 奏者。 The Commuters 〜 Brad Shepik Group のメンバーでもあり Shepik と共演も多い。 そんな Shepik と Epstein が、Paradox Trio 等にも参加したことのある 打楽器奏者 Kilmer と trio を組んでのアルバムがこの _Lingua Franca_ だ。 地中海沿岸で用いられた共通語の混成語をタイトルに採っているように、 The Commutersの延長とも言える汎地中海的 (特にバルカン (Balkan) から レヴァント (Levant) にかけて) な folk/roots の節回しやリズムの影響濃い jazz/improv だ。 しかし、The Commuters から electirc bass と drums を抜いた編成となり、 ぐっと軽快になった。リズムの鍵となるのは Kilmer なのだが、hand drum (darbuka) や frame drum で刻まれる乾いた高音による細かいリズム や、大きな frame drum の鈍い低音によるゆったりしたリズムが、drums や electric bass がいるとき以上に生きている。 力強くしっかり刻む Kilmer のリズムに乗って2人がメリハリのあるソロを 聴かせるオープニング "Two Door" や、少々前のめり感のある "Temoin" の ような曲が特に気に入っている。鈍い音で刻まれるゆったりしたリズムに乗って とつとつと少しケルト風 (Celtic) の旋律のソロが吹かれる "Emerald" も気に 入っている。 もちろん、地中海っぽい雰囲気だけではない。少し blues 入った "Miro" は 面白いとは思うけど、reggae のリズムを使った "Sunrise" は、ちょっと外して だろうか。他にも少々だれるかなと感じる展開もある。しかし、folk/roots influenced jazz/improv として充分楽しめる佳作だろう。 併せて、過去の The Commuters 関連の録音2作を軽く紹介。 Brad Shepik And The Commuters _The Loan_ (Songlines, SGL1518-2, 1997, CD) - 1)Cumin 2)Sazbek 3)The Seeress 4)Gastibelza (Brassens) 5)Rumi 6)The Water's Thirst 7)Zdravi 8)Mint 9)The Souk - Produced by Brad Shepik. Recorded 1997/2/17 and 1997/4/24, except 1,8,9)Recorded 1996/5/7. - Brad Shepik (electric guitar, acoustic guitar, electric saz, Portuguese guitar, banjo, cumbus), Peter Epstein (alto and soprano saxophones), Tony Scherr (electric bass), Kenny Wollesen (drums, timpani), Seido Salifoski (dumbek, percussion). Brad Shepik _The Well_ (Songlines, SGL1531-2, 2000, CD) - 1)The Flood 2)Zephyr 3)The Well 4)Quiver Of Veils 5)Asilah 6)Might Could 7)Vapor Oro 8)The Flower And The Bee - Produced by Brad Shepik. Recorded 1998/12/19 except 6)Recorded 1999/11/22. - Brad Shepik (electric and acoustic guitars, saz, tambura), Peter Epstein (alto and soprano saxophones), Skuli Sverrisson (electric bass), Michael Sarin (drums and percussion), Seido Salifoski (dumbek and percussion). _The Well_ は The Commuters 名義ではなく若干メンバーが入れ替わっているが、 同編成での2作。_Lingua Franca_ と比較して聴くと、electric bass と drums が いるだけあって、ぐっと音に重めの迫力がある。Salifoski の hand drum/frame drum のリズムも入るが、基本的に electric な jazz/improv がベースの音に感じられる ようになる。管が入らない時など、power trio 的な迫力や緊張感も楽しめるという 点で、この編成ならではの面白さはまた別にある。 _The Loan_ よりも _The Well_ の方が jazz/improv 的なリズム隊ながら、Pachora にも通じる軽快さなニュアンスも多く感じるのは、electric bass - drums の 資質の違いか、バンドとして folk/roots 的な要素の消化が進んだのかは、判断が つきかねる。どちらかと言えば、_The Well_ の方がお薦めだろうか。 sources: Brad Shepik, http://www.bradshepik.com/ Peter Epstein, http://www.peterepstein.com/ Matt Kilmer, http://www.mattkilmer.com/ Songlines, http://www.songlines.com/ _Lingua Franca_ @ Songlines, http://www.songlines.com/linguafrancacontent.html 2006/04/22 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html