Terje Isungset _Igloo_ (All Ice, 0601, 2006, CD) - 1)Igloo 2)Song 3)Morning 4)Floating 5)Ice Beauty 6)Iceman 2 7)Hymn 8)Mammoth 9)Bird 10)Wisdom - Recorded in an igloo at the Ice Hotel in Jukkasjarvi, Sweden, 2004/2. except part of 1) Recorded live at Seljord, Norway, 2004/3. - Terje Isungset (ice percussion; ice bass drum; iseofon on 2, 8; icehorn on 8; ice harp on 5; voice on 6, 8, 9), Sidsel Endresen (vocals). ノルウェー (Norway) の Terje Isungset は jew's harp や ram's horn も使うが、 主に打楽器を演奏するミュージシャンだ。1990年代から主に NOR-CD レーベルから ソロリーダー作だけでなく Utla や Isglem といったブロジェクト で folk/roots の色濃い improv のリリースする一方、スウェーデン (Sweden) の folk/roots グループ Groupa のメンバーとしても活動している。 また、氷製の楽器を使うことで知られ、2002年には氷製の楽器をメインに使った 音楽 "ice music" のアルバム _Iceman Is_ (Jazzland, 064 458-2, 2002, CD) を リリースしている。2005年2月にはさっぽろ雪祭りに女性歌手 Unni Loevlid (folk/roots のグループ Rusk のメンバーでもある) と来日して、"ice music" の ライヴもやっている (観られなかったが)。 そんな Isungset は、氷製の楽器によるプロジェクトに本格的に取組み始めたようで、 ノルウェーの Gelio (オスロ (Oslo) とベルゲン (Bergen) の中程にあるらしい) という町でアニュアルのフェスティバル Ice Festival を始めた (2006年1月13-15日 に第1回があった)。さらに、氷製の楽器を使った音楽のレーベル All Ice レーベル も設立した。 _Igloo_ はそんな All Ice レーベルの第一弾リリースだ。_Iceman Is_ と同じく スウェーデン (Sweden) は Jukkasjarvi に冬期のみ氷で建築されるホテル Ice Hotel で録音されている。ECM 〜 Jazzland での録音で知られるノルウェーの女性歌手 Sidsel Endersen との duo で、_Iceman Is_ と異り、声以外は全て氷製の楽器を 使用、電子的な音弄りの無いアコースティックな作品だ。 _Iceman Is_ 同様、明確な旋律やリズムの無い展開が多い。氷の塊のボーンという 鈍い響きやシャリシャリ擦れ削れるような響きが織りなす微かで隙間の多い音空間を Endersen のささやくようなハミングや歌唱が漂うといったものだ。 それでも管楽器・弦楽器の使用頻度が下がり、いくらかパーカッシヴになった ように思う。柔らかい細かいリズムに Endersen のさらっとした歌唱が乗る "Song"、 鳴りが悪く気体や液体が擦れるような氷の管楽器の音が鈍い氷のビートに乗る "Mammoth"、氷の響きが IDM のような変なリズムを刻みハイトーンの囀り声が絡む "Bird" などが気に入っている。 いったいどうやって出しているのだろうかという、氷の立てる微妙な物音が楽しめる 作品だ。しかし、レーベルとしては、こういう音楽ばかりリリースしていたのでは 厳しいのではないかとも思う。今後、どう展開していくのか気になる所だ。 sources: Terje Isungset, http://home.online.no/~isungz/ Ice Festival, http://www.icefestival.no/ All Ice Records, http://www.all-ice.no/ Ice Hotel, Jukkasjarvi, Sweden, http://www.icehotel.com/ Terje Isungset, _Iceman Is_ のレビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/03051801 2006/06/26 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html