Konono No.1 六本木ヒルズアリーナ 2006/08/25, 18:30-20:00 Konono No.1: Mawangu Mingiedi (likembe), Mawangu Vota (likembe), Ndofusu Mbiyavanga (percussion), Waku Menga (vocal), Vincent Visi (cloche), Pauline Mbuka Nsiala (vocals, dance); Konono No.1 guests: Charls (dance), Nanayao (dance), Ema (dance) Konono No.1 は、アフリカ、コンゴ民主共和国 (DR Congo、元ザイール (Zaire)) の キンサシャ (Kinshasa) を拠点に活動するDIY的に電気増幅した親指ピアノ (likembe) をフィーチャーしたグループだ。1970年代後半に活動を始めていたものの、 _Congotronics_ (CramWorld / Crammed Discs, CRAW27, 2004, CD) で世界的に 知られるようになった。そんな彼らの東京での最初の公演は、1時間半と若干短め だったが、充分に楽しめるものだった。 アンコールを含め4曲というか4セッション。likembe はメロディともリズムとも つかない感じで、conga 風の長身 hand drums と、snare + wheelcover cymbal のリズム隊と共に、ほとんど休み無しに延々とビートを刻み続けた。 野外PAもあって強力なサウンドというほどではなかったが、切れ目なく刻まれる リズムがトランス的、聴くというより淡々と踊っているうちに気持ちよくなる ような音楽だった。あまり変化がある音楽ではないが、踊っているとブレイクを 挟んで腰を入れるタイミングが変るのを体感させられ、それで微妙にリズムが 変ったと判るという感じだった。 ステージ上での振舞は、中央にフィーチャーされた女性パーカッション奏者が 腰を揺するダンスを見せる以外は、pop/rock 的な派手めのパフォーマンスをする ことなくちょっと硬い感じ、ヴォーカルが「オドリマショウオドリマショウ」と MC的に言う程度で、淡々と演奏していた。フィーチャーされていたダンサー3人 (Konono No.1 のメンバーではく、在東京アフリカ人らしい) は、女性パーカッション 奏者と絡んでそれなりに場を盛りあげようという感もあったように思う。あと、 アンコール後のセッションではリーダーが踊りに加わり、場を盛りあげていた。 さらに翌々日の Konono No.1 も参加したフェスティバル『World Beat 2006』も 観てきた。 『World Beat 2006』 日比谷野外大音楽堂 2006/08/27, 15:00-20:00 - 渋さ知らズオーケストラ: 片山 広明 (tenor sax), 佐藤 帆 (tenor sax), 泉 邦広 (sax), 川口 義之 (alto sax), 小森 慶子 (soprano sax), 立花 秀輝 (alto sax), 鈴木 新 (soprano sax), 鬼頭 哲 (baritone sax), 吉田 隆一 (baritone sax), 北 陽一郎 (trumpet), 辰巳 光英 (trumpet), 高橋 保行 (trombone), 室舘 彩 (flute, vocals), 関根 真理 (percussion), 松村 孝之 (percussion), つの犬 (drums), 磯辺 潤 (drums), ヒゴ ヒロシ (bass), ファンティル (guitar), 齋藤 良一 (guitar), 大塚 寛之 (guitar), 太田 恵資 (violin), 岡村 太 (drums), 渡部 真一 (MC), 小山 なおこ (vocals), さやか (中田 清香) (dance), ペロ (和田 結美) (dance), 東洋 (舞踏), ちえ (舞踏), しも (舞踏), たかこ (舞踏), 不破 大輔 (ダンドリスト) (以上推定); Rovo: 勝井 祐二 (violin), 山本 精一 (guitar), 益子 樹 (keyboards), 原田 仁 (bass), 芳垣 安洋 (drums), 岡部 洋一 (drums); Konono No.1: Mawangu Mingiedi (likembe), Mawangu Vota (likembe), Ndofusu Mbiyavanga (percussion), Waku Menga (vocal), Vincent Visi (cloche), Pauline Mbuka Nsiala (vocals, dance); Konono No.1 guests: Charls (dance), Nanayao (dance), Ema (dance). 開演15:45ということで15:30過ぎに日比谷公園に着いたら、既に 渋さ知らズ の 演奏が会場から洩れ聴こえてきた。公開サウンドチェックということのようだったが、 本番同様の演奏をしていたようにも感じた。 一旦ステージが空いて、まずは客席後方から渋さホーンズと舞踏ダンサーズが客席 後方から登場。新日本プロレスのアナウンサー (名前失念) のMCで、フェスティバル が始まった。渋さ知らズを最後に観たのは確か1999年と実に久しぶり、メンバーは かなり代わってしまっていた。しかし、渋さ知らズはやはり ダンドリスト 不破 大輔 のグループ、というか、Cobra や Conduction のようなものとは違う形にはなって いるけど、「free 以降において指揮をどうするのか」という点で、実に post-free な jazz orchestra だと、指示を出す 不破 の姿を観ていて思った。しかし、 個々の楽器音を立てるような jazz 的なPAではなく、良くも悪くも音圧重視の rock / club music 的なPA。音圧を感じて踊るにはいいが、音のディテールを潰して しまったようにも感じた。オーケストラの厚い編成ならではの音量を生かせば よいのに、とも思った。正直に言って音的演奏的に楽しめたと言い難かったが、 お祭騒ぎは充分に楽しんだ。ハッピに赤褌で歌ともMCともつかない煽りを入れる 鉄割アルバトロスケット の 渡部 真一 が、最もツボにはまっただろうか。 続いて、Rovo。勝井 祐二 と 芳垣 安洋 は5年ほど前であれば 渋さ知らズとして 出演していてもおかしくないのだが、今回はこちらで登場。浮遊感のあるビートが 気持ちよく、今回のラインナップ3グループ中で、最も音が楽しめた。お祭り盛り 上がりという意味では最も地味で物足りなかったが。やはり音圧重視のPAで音の 微妙な所はかなり失われていたように感じたが、音を浴びながら体を揺らすのは、 気持ち良かった。特に、今年7月の Kabusacki / Vazquez / Franov とのライヴでは いまいちに感じた 山本 精一 の guitar が良く鳴っていたのが印象に残った。 ただ、1時間弱と時間が短かったのは少々残念。しかし、このくらいが、聴く集中が 切れずにちょうど良い長さだったのかもしれない。 トリは Konono No.1。曲もダンサーも、ほぼ25日の六本木ヒルズアリーナと同じ 構成のステージ。六本木ヒルズヒルズのときはもっと強力な音が欲しいと思ったが、 音圧重視の日比谷のPAと比べると、六本木の音の方が気持ち良く踊れた。 といっても、鳴り響く likembe 等の音を浴びるようにして踊るのも、悪くは なかった。むしろ、他のライヴと比べたら格段に楽しめるものだったと思う。 Konono No.1 のメンバーも、六本木の時のような硬さ比べて遥かにノって演奏 しているように見え、それもお祭り的な盛り上がりを呼び起こしていたように思う。 アンコールは、 Konono No.1 + Rovo の drums 2人 (芳垣 + 岡部) でセッション 開始。 Konono No.1 の演奏をリズム強化した感じにかと思いきや、すぐに 渋さ や ROVO の他の面子も登場して、舞台も観客席も大盛り上がり。drums 以外の参加が 音的に面白いものにしていたとは思わないが、お祭りのフィナーレの賑やかしと いうことで、これはこれでアリかなと。ダンドリスト 不破 の指示も効かずに なかなか終らなかったのも可笑しかった。 こんな感じで、音楽を、というより、夏祭りを堪能した楽しい4時間余りだった。 sources: Konono No.1, http://www.crammed.be/konono/ ROVO, http://www.rovo.jp/ 渋さ知らズ, http://webs.to/shibusa Konono No.1, _Congotronics_ レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/05020501 2006/08/29 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html