Wolfgang Puschnig / Jatinder Thakur / Dhafer Youssef
_Odem_
(Emercy / Universal (Austria), 987078-5, 2005, CD)
- 1)Promise 2)Armenian Longing 3)Hochzeit Zu Dritt 4)Faithful
5)Hanulim Project 6)Worlds Apart 7)Soul Rewind 8)Meditation Theory
9)Strained Ties 10)Boushouisha
- Recorded 2004/11/4, except 5, 6, 10) Recorded 1997.
- Wolfgang Puschnig (altosaxophone, flute, altoflute),
Jatinder Thakur (tabla, percussion), Dhafer Youssef (oud, vocal);
Lee Kwang Soo (tschang'go (Korean drum, vocals), Helene Labarriere (bass) on 5;
Achim Tang (bass), Arto Tuncboyaciyan (percussion) on 6, 10;
Linda Sharrock (vocals) on 6.

Wolfgang Puschnig はオーストリア (Austria) の jazz/improv シーンで活躍してきた
multi-reed 奏者だ。Vienna Art Orchestra 創設メンバーで、African-American の
女性歌手 Linda Sharrock とのプロジェクトや、韓国の打楽器アンサンブル SamulNori
との共演、オーストリアの saxophone 4tet の Saxofour などの活動でも知られる。

その Puschnig が、インド (India) 出身の tabla / 打楽器奏者 Jatinder Thakur、
チュニジア (Tunisia) 出身で最近はノルウェー (Norway) の Eivind Aarset らと
共演が多い oud 奏者 Dhafer Youssef と作品をリリースした。1997年に他のゲストと
共に共演した3人が2004年に改めて録音したもので、1997年の録音も3曲収録している。

斬新な音というわけではないが、管弦打のミニマルな trio で、bass-less ならではの
軽快で自由度の高い ethno jazz が楽しめる佳作だ。

全体として緩急のメリハリのある作りで、特に、"Promise"、"Hochzeit Zu Dritt" の
ような Puschnig が saxophone を吹く曲では、Brad Shepik の trio や Pachora、
もしくは Enver Izmailov trio にも似た、軽快でゆったりしたノリが楽しめる。

Puschnig の吹く flute 音色は少し鈍いもので、緩い曲では oud や tabla の音色に
合っているように思う。"Faithful" での tabla との掛け合いは bansuri を、
"Strained Ties" での oud との掛け合いは ney を意識しているように思う。
Dhafer の oud と思われるが、"Armenian Longing" で sitar に近い弦の響きが
入ったりもする。こういう緩いインド風の展開には、Zakir Hussain, _Making Music_
(ECM, ECM1349, 1987, CD) などを連想させられる。

他のゲストの入った1997年の録音のうち "Hanulim Project" と "Worlds Apart" は
少々とりとめないようにも感じるが、ラストの "Boushouisha" ば bass が入り
parcussion が強化されたせいか、ぐっとノリが良く感じられる。変拍子のキレ、
Puschnig の saxophone の吹き回しも良く、楽しめる曲だ。

sources:
Wolfgang Puschnig, http://www.puschnig.com/
Dhafer Youssef, http://www.dhaferyoussef.com/

2006/09/10
嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html