Silvia Iriondo
_Ojos Negros_
(EPSA Music, 0753-02, 2006, CD)
- 1)Por Una Pequena Chispa
- Silvia Iriondo (vocals);
Marcos Cabezaz (marimba, vibes), Sebastian Macchi (piano),
Horacio Hurtado (contrabass), Mario Gusso (percussion),
Juan Pablo Francisconi (percussion), Rodrigo Gonzalez (percussion),
Diego de la Zerda (percussion);
Lilian Saba (piano), Carlos Aguirre (piano, guitarra),
Quique Sinesi (guitarra piccolo, guitarra),
Quique Condomi (violin), Irene Cadario (viola, violin),
Ana Archertti (mbiras), Pablo Paz (mbiras), Mariana Grisiglione (voices),
Francesca Maria Cervi (chorus), Lucia Lopez Ruiz (chorus).

Silvia Iriondo は folklore のバックグラウンドを持ちつつ jazz に近い
アプローチで歌うアルゼンチン (Argentine) の女性歌手の5作目だ。
前作 _Tierra Que Anda_ (Los Anos Lus, LAL023, 2003, CD) は、ECM レーベル
の一連の作品で知られるブラジル (Brazil) の guitar 奏者 Egberto Gismonti
が制作し、ブエノスアイレス (Buenos Aires) の気鋭の独立系レーベル
Los Anos Luz からリリースされただけでなく、ECM からもライセンス・
リリースされた。新作は、アルゼンチンの大手独立系レーベル ESPA から。

前作の音の隙間とテクスチャを生かした立体的な音作りに比べぐっと保守的に
なった。よく言えばぐっと親しみ易くなった音作りだ。録音等の違いという
こともあるだろうが、バックの演奏の中心が、guitar から piano に変った
ということが大きいだろう。

前作の音作りの主軸とも言える guitar の Quique Sinesi はゲストとして
3曲に参加している。しかし、この作品の伴奏の主役は Sebastian Macchi の
piano だ。これに Horacio Hurtado の bass に、percussion を加えた
piano trio による、アウトになることの無い落ち着いた伴奏で Iriondo が
少々 jazzy にしっとり歌い上げる曲が多い (2, 5, 6, 9, 11, 13, 17, 18曲目)。
このアレンジのおかげか、前作よりぐっと彼女の歌声は華やかで艶めかしく
聴こえる。そして、そういう彼女の歌声も気に入った。

しかし、全体を聴き通して印象に残る曲は、そういった所から外れる曲だ。
Sinesi の guitar 伴奏のみでゆったり歌われる "Por Una Pequena Chispa"、
percussion 2人の伴奏の合間でゆらめくように歌う "Yo No Tengo Parde Y Madre"。
しかし、最も気に入ったのは、Hurtado の contrabass のみの伴奏で
抽象的な歌詞をゆったり歌い上げる "Toro Yayuka" だ。こういう曲ももっと
聴きたかったようにも思う。

ちなみに、この作品のジャケットはデジパック仕様なのだが、ジャケットの中に
砂粒もしくは小さな草の実が仕込んであり、振るとサラサラと音がする、凝った
作りになっている。

sources:
Silvia Iriondo, http://www.silviairiondo.com.ar/
EPSA Music, http://www.epsamusic.com.ar/
Silvia Iriondo, _Tierra Que Anda_ レビュー,
    http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/04010401

2006/12/03
嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html