Savina Yannatou - Elena Ledda _Tutti Baci_ (Lyra, CD1095, 2006, CD) - 1)Laudatu Sempre Sia 2)Lakerda Dance 3)S'Anninnia De... / El Sueno De La Hija Del Rey 4)Dillurudai 5)Adam Aman 6)Saranta Palikharia (Forty Bonnie Lads) 7)Yan-Ni Mou To Mandi-Lee Sou 8)San To Rodo (Just Like The Rose) 9)Li Tre Re 10)Ballo Sardo 12)Tutti Baci 13)Por Que Lloras Blanca Nina 14)Procurade 15)Ave Maria - Recorded live 2006/6/22-25. Production Co-ordination: Kostas Vomvolos. - Savina Yannatou (vocals), Elena Ledda (vocals); Mauro Palmas (mandoloncello, mandola, vocals); Promavera En Salonico: Yannis Alexandris (oud, guitar, tamboura, vocals), Kostas Vomvolos (accordion, kanonaki, kalimba), Kyriakos Gouventas (violin), Kostas Theodorou (percussion), Harris Lambrakis (nei, flute), Michalis Siganidis (bass). Savina Yannatou & Primavera En Salonico は1994年にギリシャのテッサロニキ (Thessaloniki, Greece) で結成されたセファルディ (Sephard。15世紀末にスペイン (Spain) を追放されたユダヤ人 (Jewish)) の音楽の復元プロジェクトだ。その後、 汎地中海に音楽性を広げ、5作のアルバムをリリースしてきている。そんな彼らが、 1970年代から活動するサルディーニャ (Sardinia, Italy) の女性歌手 Elena Ledda と長年彼女の伴奏を務めてきた mandola 奏者 Mauro Palmas を迎えて、 ライヴ盤をリリースした。Ledda & Palmas も Paolo Fresu, _Sono 'E Memoria_ (ACT, 9291-2, 2001, CD) に参加するなど、同時代的な jazz/improv の ミュージシャンとの共演も多い。 リリースは、Savina Yannatou & Primavera En Salonico の最近2作をリリースした ミュンヘン (Muenchen, Beyern, DE) の jazz/classical のレーベル ECM から ではなく、Savina Yannatou のギリシャでのリリースをしてきたレーベル Lyra から。 どちらも jazz/improv 的要素と取り込んで同時代的な folk/roots を展開して きただけに、そのような演奏が楽しめる作品だ。ギリシャ風、サルディーニャ風、 そのどちらとも言い難いものが入り交じっているが、それぞれの特徴を生かしつつ 自然に繋いでいっているように思う。Leddda のメリスマを低めに響かせる歌声と、 Yannatou の喉にかけるような抽象的なヴォイシングを交えつつ高く揺らめくような 歌声も、巧く棲み分けて良い対比を生み出している。レパートリーも、単なる顔合せ 以上のものだ。アコースティックな演奏をバックに伝承曲を多く取り上げながら、 意欲的な試みを感じる秀作だろう。 サルディーニャの伝承歌に基づくオープニングの "Laudatu Sempre" では Ledda、 Yannatou、Palmas の3人による合唱から始まるが、この合唱の合間にも accordion 等楽器による free な即興演奏が挟まる。続く "Lakerda Dance" (クレジットは 全メンバーによる共作) では、弦楽器による細かめのリズムとゆったりした nei や accordion の響きの上に Ledda と Yannatou の抽象度高い詠唱というかヴォイシング が漂う、少々 goth っぽくもある (アコースティックな Dead Can Dance を思わせる) 仮想的な地中海音楽だ。 Ledda / Malmas による "S'Anninnia De..." と Primavera En Salonico の レパートリーのセファルディの曲 "El Sueno De La Hija Del Rey" を組み合わ せた演奏は、曲の継目もよくわからない程巧く組み合わされている。 "Dillurrudai" は Ledda、Yannatou、Palmas の3人によるサルディーニャ風の 合唱から、インストゥルメンタルな演奏と抽象的なヴォイシングを多用する Primavera En Salonico らしい展開になっていく。 続く伝承曲 "Adam Aman" は Yannatou & Primavera En Salonico のみの演奏。 oud や nei、kemanche っぽい violin の響きを多用した東地中海っぽいゆったり した演奏に、Yannatou のハイトーンの歌声が漂うような曲だ。 続く "Saranta Palikharia" もギリシャの伝承歌で、東地中海っぽい節回しだが、 Ledda が歌っている。メリスマの効き方といい、強い歌声といい、Yannatou より ギリシャ歌謡的にハマっているように聴こえるのが面白い。 そのまま演奏を切らずに繋がる "Yan-ni Mou To Mandi-lee Sou" は、クレジットは Savina Yannatou & Primavera En Salonica による曲だが、中国 (China) 風だ。 タイトルも歌詞もおそらく中国語で、Yannatou のハイトーンの歌声も中国語らしい 響にハマっている。どういう背景のある曲なのかよく判らないのだが、2002年に 同名の映画がギリシャで制作されているようだ。 ケファロニア島 (Cephallonia) の伝承歌 "San To Rodo" は、Yannatou、Ledda、 Palmas の3人による無伴奏合唱だが Yannatou のハイトーンの歌唱がリードを取り、 地声合唱とは違う静謐な感じに仕上っている。 続く3曲はサルディーニャの展開だ。まずは、Ledda が伝承歌 "Li Tre Re" を、 続いて Yannatou が Primavera En Salonico のレパートリー "Ballo Sardo" を、 さらに、2人で伝承歌 "Putaiola" (Ledda のレパートリー "Filugnana" とかなり 似ている) を歌う。 アルバムのタイトル曲 "Tutti Baci" は Savina Yannatou & Primavera En Salonico による曲で、演奏も Ledda & Palmas 抜き。リードを取る Yannis Alexandris の 愁いを感じる男声の歌唱がギリシャ島嶼部の歌を連想させる。 続く "Por Que Lloras Blanca Nina" は Primavera En Salonico のセファルディの レパートリー。Yannatou のハイトーンの歌唱による導入から、Ledda の低めの 声による歌唱と朗読に入り、曲の表情がぐっと変るのが面白い。 最後はサルディーニャだ。Ledda の歌唱と Palmas の mandole の掛け合いが スリリングな "Procurade"、そして、伝承歌 "Ave Maria" を Ledda、Yannatou、 Palmas 3人で合唱して静かにアルバムを締めている。 このライヴは2006年6月に Savina Yannatou & Primavera En Salonico の地元 テッサロニキ (Thessaloniki, GR) で録音されている。しかし、それに続く 8月末に Ledda / Palmas の地元サルディーニャで、Mauro Palmas、Elena Ledda、 Savina Yannatou に Coro de Su Concordu e Su Rosariu (_Sono 'E Memoria_ に 参加していたサルディーニャの地声ポリフォニー) という共演ライヴも行っている。 この録音もあるなら是非リリースして欲しいと思う。また、今後、この共演に 展開があることを期待したい。 sources: Savina Yannatou & Primavera En Salonico, http://www.savinayannatou.com/ Lyra, http://www.lyra.gr/ Savina Yannatou & Primavera En Salonico, _Terra Nostra_ レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/03042001 Savina Yannatou & Primavera En Salonico, _Sumiglia_ レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/05050101 Paolo Fresu, _Sono 'E Memoria_ @ ACT music, http://www.actmusic.com/product_info.php?products_id=78 Paolo Fresu, _Sono 'E Memoria_ レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/03100501 2006/12/21 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html