Caetano E Gil "Tropicalia 2" (WEA, 4509-93984-2, '93, CD) - 1)Haiti 2)Ciname Novo 3)Nossa Gente 4)Rap Popcreto 5)Wait Until Tomorrow 6)Tradica~o 7)As Coisas 8)Aboio 9)Dada 10)Cada Macaco No Seu Galho 11)Baia~o Atemporal 12)Desde Que O Samba E~ Samba - Produzido por Liminha, Gil e Caetano ポスト・ボサ・ノバの60年代に「tropicalismo宣言」の下で新しい音楽を目指して いたCaetano VelosoとGilberto Gilの2人による新作。去年の末から今年の頭頃に 出回っていたのだが。Caetanoの近年のArto Lindsayとの活動は興味深く追いかけて いたが、この作品にはArtoはからんでいないし、Gilberto Gilはそれほど興味が なかったので、手を出していなかった。 が、Arnaldo Antunes "Nome" (BMG Ariola Discos M30.072)と似たジャケットと いうことで、買ってみた。実は、内容もそれに近いかなり実験的なものだった。 といっても、"Nome"ほどロック色濃い実験的な作品ではないが。 オープニングの"Haiti" (最近、話題のハイチ)では、重いベースラインのスローな 曲をバックにCaetanoとGilがラップする。4曲目の"Rap Popcreto"に至っては、 「誰?」という声のサンプリングを繋ぎ合わせた作品だし。5曲目の"Wait Until Tomorrow"はJimi Hendrixのカバー。これは、意外に軽いアレンジ。唯一ノイジーな ギターも飛び出す7曲目の"As Coisas"は、作詞でArnaldo Antunesが参加しており、 "Nome"の中のポップな曲と共通する感触もある。 Arnaldo Antunes "Nome"ほど斬新じゃないし、はっとするような展開が多いわけ じゃない。比較的普通のポップやアコーステックなボサノバ曲もあって、少々 ダレる感じもあるが。どうしても"Nome"と比べてしまうので物足りなくなるけど、 とても良い作品だと思う。50歳過ぎのおじさんが作る作品とは思えない(笑)。 制作はCaetanoとGilとLimihna。Liminhaが背景のキーボードやサンプリングを ほぼ担当している。Limihnaという人はGilberto Gilのいくつかの作品を制作して いる人なのだが、Arnaldo AntunesのバンドTita‾sも、制作がLiminhaだという ことに気付いた。というわけで、ここの界隈の展開は、なかなか興味深い。 94/3/27 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕