Mad Professor
"Anti-Racist Dub Broadcast (Black Liberation Dub Chapter 2)"
(Ariwa, ARICD100, '94, CD)
- 1)The Anti-Racist Dub Broadcast 2)Dangerous Escapades Of Dub 3)King Jimmy's
Dub 4)Basking In Colonialism 5)Petty Bourgeois Dub 6)Pandora's Box 7)Battle
Of Cickei 8)Buthelezi Trump Card 9)The Lion's Domain 10)Rough Rough Dub
11)Legacy Of Mussolini 12)Ethnic Cleaning Dub

Mad Professorが"Dub Me Crazy"を止めて新たに始めた連作の第2弾。第1弾である
Mad Professor "Black Liberation Dub Chapter 1" (Ariwa, ARICD095, '94, CD)が
悪くなかったので聴いてみた。表紙のデザインが気に入っているし。

これが非常に良い。第1弾もこんなに良かったっけ? と聴き直してみたけれども、
第1弾よりずっと良い。明らかにRicoのものと判るブラスの響きが曲を引き締めて
いる。ベースも重くなっている。4曲目"Basking In Colonialism"では、冒頭に
Jessie Jackson (USの大統領候補になったこともある黒人。Grandmaster Flash
"Jessie"なんて曲もあった。)の演説がサンプリングされていたりする。

80年頃のDub Syndicateの出来の良い作品あたり(Prince Far I "Cry Tuff Dub
Encounter Chapter I"やDub Syndicate "One Way System")に共通する、冷たく
引き締まった感触のするダブだと思う。Ricoのホーンが活躍する所では、Linton
Kwesi Johnsonの"Voice Of Victory"から"Bass Culture"の頃を一瞬思いださせて
くれる。最近のMad Professorを聴くなら、これをお薦めしたい。

この連作はデザインも気に入っている。題材はいかにも黒人解放というもので
紋切り型だなと思うけれども、コラージュのセンスが良い。2作とも同じような
デザインで統一感があるのもよい。このままこのデザインで続けるのだろうか。

最近のMad Professorはレゲエ以外でもMassive Attackの"Sly"、"Protection"で
素晴らしいダブ・リミックスを見せている。今後の活動がますます楽しみになった。

95/01/17
嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕