Lois "Bet The Sky" (K, KLP36, CD, '95) - 1)Charles Allas 2)Sky Town 3)Cover Yr Eyes 4)Transatlantic Telephone Call 5)Wrestling An Angel 6)Flamer 7)The Western 8)Unattached 9)Steal Heat 10)February 15 - Produced by Stuart Hallerman with Lois Maffeo and Calvin Johnson - Lois Maffeo (g,vo), Heather Dunn (dr), Brendan Canty (g,organ), John Goodmanson (b) 1st "Butterfly Kiss" (K, KLP15, CD, '93)、2nd "Strumpet" (K, KLP21, CD, '93) と立て続けに出たあと、1年以上間が空いての3rdアルバム。実は、Loisの新作はDub Narcoticから出るのではないか、と期待していたのだが、制作は前作とほぼ一緒だ。 メンバーの変化を見ると、前2作のBratmobileのMolly Neumanから、今作品はHeather Dunn (Beat HappeningのHeather?)へ、ドラムが変わっているのが目立つところか。 裏表紙の写真を見て、Loisってこんなに奇麗だったっけ? と思った。表紙も今まで より遥かに手がかかっているように思う。そんな、表紙から受けた印象もあるのか、 中の音も、今までよりずっと手をかけて制作されているように聴こえる。といっても 今までと同じ、シャカシャカしたギターの弾き語りが基本的な音構成だが。か細く 低いLoisの歌声も、今まで通り。 ありがたいことに、この作品には初めて歌詞が付いている。というわけで歌詞も じっくり楽しめる。歌詞は基本的に恋愛歌だ。構成的というよりも、自叙的という か私的な歌詞だな、と思った。 この作品は、発売時期もあるのか、St. Valentine's Dayを意識したと思われる歌が 2曲もある。("Wrestling An Angel"と"February 15"。) St. Valentine Dayを扱った 歌としては、経済力と政治的暴力と性の社会機構を歌ったBilly Bragg "Valentine's Day Is Over"やAu Pairs "Love Song"のような歌の方が好きだし、それらと比べたら 感傷的だと思う。しかし、それでも、"February 15"の中のパッと曲が止まる一瞬 だけでも、当事者が当然として受け入れている恋愛の重みを支えうるものがあると、 僕は思う。 "Charles Atlas"を聴きながら、ふと、「少女は否応なく挫折する」(by 小倉千加子)と いう言葉を思い出した。Who made the man? I wanna know …。 思い入れが深いので、その分を差し引いて欲しいが。お薦め。 95/01/27 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕