Gang Of Four "Entertainment!" (EMI, 7243 8 32146 2 4, '79/'94, CD) - 1)Ether 2)Natural's Not In It 3)Not Great Men 4)Damaged Goods 5)Return The Gift 6)Guns Before Butter 7)I Found That Essence Rare 8)Glass 9)Contract 10)At Home He's A Tourist 11)5.45 12)Anthrax 13)Outside The Trains Don't Run On Time 14)He'd Send In Army 15)It's Her Factory Leeds, England出身のポストパンクバンドGang Of Fourの1stアルバムがついにCD化 された。シングル"Outside The Trains Don't Run On Time"の曲が追加曲として収録 されている。これは"Sold Gold"のものとは別テイクだ。 Grail Marcusの"Real Life Rock"でよく取り上げられるバンドであり、この作品を 評した"Gang Of Four"なんて名文もあるのだが。最近入手したDan Graham "Rock My Religion" (MIT Press)という美術評論集の中の"New Wave Rock and the Feminine" という文の中で、Gang Of Fourが取り上げられていることに気付いた。"Feminism: Male Marxists: The Gang Of Four"という所で、デビュー・シングル曲の"Damaged Goods" ("Entertainment!"所収) を取り上げている。Grail Marcusが"Real Life Rock"で述べていることと同じようなことが書かれているのだが。 このGang Of Fourの評論を読んで、Gang Of Fourは評論家受けするバンドなのかも しれないな、とふと思った。しかし、フェミニズムと左翼主義に影響を受けただけの 頭でっかちのバンドだったわけではない。このCDに載っているRed Hot Chilipeppers のFlea、TADのTad Doyle、R.E.M.のMichael Stipeの献辞も、それを証明している だろう。Michael Stipeはそこでこう言っている。"The Gang Of Four know how to swing." ザックザクと切り刻むようなリズム・ギター、ブンブンうなるベース、ギクシャクと 叩き出されるドラム、錯乱したかのような歌声からなる支離滅裂な面を強調した アンサンブルと、私的叙述や物語を排した歌詞は、まさにポストモダンだ。 僕の人生−とまでは言わないが美意識を狂わせた一枚、と言って憚らないこの一枚。 15年前の感動よ、再び。まだ聴いたことがない人は、ぜひ聴いて欲しい。 95/02/06 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕