David S. Ware Quartet "Cryptology" (Homestead, HMS220-2, '95, CD) - 1)Solar Passage 2)Direction: Pleiades 3)Dinosauria 4)Cryptology / Theme Stream 5)Panoramic 6)The Liberator - Recorded on 94/12/2. Produced by David S. Ware - David S. Ware (ts), Matthew Shipp (p), Whit Dickey (dr), William Parker (b) ひょっとしたらDavid S. Wareリーダー作初ではないかと思われるUSのレーベルから の新作は、なんと、数多くのパンク〜ポストパンクのロックのレコードを発表して きたNYの代表的な古参独立系レーベルHomesteadからだ。 面子は最近のいつもの四人組。Cecil Taylor "Dark To Themselves" (Enja)で名演が 聴けるDavid S. Ware、Cecil Taylor UnitでブンブンならすWilliam Parker、Cecil TaylorばりのガンガンなピアノのMatthew Shipp、と紹介したくなるような、Cecil Taylor childrenという感じのそれ風の演奏が聴ける。 しかし、6曲も収録されていることからわかるように1曲は10分程度。Cecil Taylorの ように1曲に1時間くらいかけて徐々に盛り上がっていくのと訳が違う。この四人組の 構成とほぼ同じという意味ではCecil Taylor "The Eighth" (Hat Art)の最もけたたま しい部分を切り出したという感じだ。頭からどしゃめしゃだ。これは凄い。傑作。 Homesteadからは、フリージャズの作品としては他に、William Hooker "Radiation" (Homestead, HMS216-2, '95, CD)が最近になって、リリースされている。 Matthew Shipp Trio "Circular Temple"がHenry RollinsのレーベルInfinite ZeroからGang Of FourやDevoと交じって再発されたり、Wayne Horwitzの新作がThe Raincoatsのベスト盤を出したりしているレーベルTim/Karrからリリースされたり、 今までロック一色になりがちだったUSのポストパンクの独立系レーベルの動きに ちょっとした変化が見えて、興味深い。かつてRough TradeがJames Blood Ulmer "Are You Glad To Be In America"をリリースしたような、そんな感じにも思える。 単に、USにこのような音楽をリリースしようとするジャズのレーベルがないだけ なのかもしれない。しかし、例えばVarious Artists "Soluble Fish" (Homestead, HMS126-2, '93, CD)のような音楽を聴いている人の中にも、Homesteadからの作品と いうことで、この作品を手に取ってみようとするかもしれない。そういう状況を、 僕は期待したい。 95/3/13 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕