Violent Femmes 渋谷Club Quattro 1995/3/18 19:00 - Milwaukee出身のパンクフォークロック三人組Violent Femmesのライブを観に、 渋谷Club Quattroへ行ってきた。82年のデビュー作からずっとアルバムを買い つづけてきた大好きなバンドの、初来日公演だ。10年以上待ちつづけた甲斐 のあった、非常に楽しいライブだった。 会場に入ってびっくり。客の半数近くは金髪碧眼系だ。こんなに金髪碧眼系の 客が多いライブはBilly Bragg以来だ。僕が立ったステージ前の方は金髪碧眼 系の方が多数で、あっというまに金髪碧眼に周囲をかこまれてしまった。 本当にここは日本なのか!? 男女も半々くらいで若いやつから大学時代に彼らが デビューしましたみたいな人まで、老若男女に好かれているバンドなんだなぁ。 ライブのノリは非常によく、周囲ではパンク流儀の身体をぶつけあう踊り モッシュやリフティングやダイブが始まり、非常に危険な状態になった。 なんせ金髪碧眼系の体格はすばらしく良いので、身の危険を感じたほどだ。 しかし殺伐とした感じで荒れたというのとはちょっと違った。 金髪碧眼系の客は非常によく歌詞を覚えており、みんなで声を合わせて歌う。 それも、英Rough Tradeからしかリリースされなかったシングル"Ugly"や "Gimme The Car"、1stの"Blister In The Sun"、"Kiss Off"、"Prove My Love"、 "Promise"、"Gone Daddy Gone"、アンコールでやっとやった"Add It Up"と いった初期の歌で非常に盛り上がったというのもすごい。客からリスエストの 声が挙がったのは"American Music" (5th "Why Do The Birds Sing?"所収) 以外はみな1stの曲だった。1stの曲で演奏しなかったのは"To The Kill"だけ。 これも僕には嬉しかった。僕もこの一週間予習をしていたので、金髪碧眼な 人たちに交じって、声を枯らして歌った。 音楽的にも大道芸に基づいた構成なので、Milwaukee地元で人気の田舎バンド、 東京に乱入!といった和やかな感じもあった。10年以上活動を続けて、この素朴 さを保っているのは貴重だ。(彼らは、かなり意識してそれを演出していると思う。) こういうバンドに渋谷Club Quattroのようなハコはぴったりだった。決して ホールやスタジアムで聴く音楽じゃない。 辛辣なユーモアたっぷりの歌詞と、素朴だが客を楽しませるツボは押えた 音楽性が、金髪碧眼系に絶大な人気を誇っている理由に違いないと思った。 それが日本での評価が不当なまでに低い理由でもあるような気もしたが。 とてもよく出来た大道芸を見たようなそんな楽しいライブだった。 1995/3/19 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕