Tower Records新宿東口店に行ったら、The Cheaftains "Long Black Veil"が 流れていた。この歌を聴いてSally Timmsのことを思い出したので、何気なく ロックのSのあたりの棚の所に行ったら、こんなCDがあった。 Sally Timms "To The Land Of Milk & Honey" (Scout, SCOUT02, '95, CD) - 1)Round Up 2)Half Past France 3)Everytime She Walks In The Room 4)It Says Here 5)Junk Barge 6)King Ludwig 7)No More Rides 8)Homburg 9)Painted Girl 10)Longing, Madness And Lust 11)Deep - Mixed by Jon Langford, Baron Von Trumfio and Sally Timms Engineered by Baron Von Trumfio and Mike Hagler - Sally Timms (vo,acoustic g), John Herndon (dr), Baron Von Trumfio (b,g), Jon Langford (g), Duane Denison (g), Dave Crawford (accordion,tr,flugel horn), Dan Scanlon (vln), Britt Walford (dr,b), Sam Ladwig (acoustic g), Jane Baxter Miller (vo), Tracey Dear (mandolin), Brett Sparks (tuba), Santiago Durango (g) Sally Timmsは、Leeds, England出身のフォークやトラッド、カントリーに影響を 受けたポストパンクバンドMekonsの女性歌手。といっても、Mekonsはここ数年 根拠地をChicago, IL, USAに移しており、このTimmsの新作もChicagoでの制作だ。 Mekons "Retreat From Memphis" (1/4 Stick, QS26CD, '94, CD)があまり面白く 無かったので期待はしていなかったのだけれども、Mekonsのメンバーも参加して いるこの作品はその予想を裏切らない出来で少々がっかりだ。 John CaleやStuart Moxhamの曲もやっているが。Stuart Moxhamの曲ということも あるのか、Devine And Stattonを思わせるような曲もある。Sally Timmsの低い 歌声は悪くないのだが、背景のアレンジが紋切型のフォークロック調なので、 退屈だ。面白い時のMekonsはリズムがレゲエだったりと普通じゃないアレンジが 冴えているのだが。 Sally Timmsの声の質は好きだし、かつて出していたソロ作品が素晴らしく好き だっただけに、もっと良い作品がつくれるだろう、と思ってしまう。 というわけで、このCDを聴く代わりに、これらのレコードを中古盤ででも探して 聴くことをお薦めしたい。きっと500円くらいの値段で叩き売られているはずだ。 Sally Timms And The Drifting Cowgirls "Long Black Veil" (T.I.M., 12MT4, '86, 12EP) - A1)Long Black Veil 2)Margherita B1)Butcher's Boy 2)Down From Dover Sally Timmsのソロデビューシングルは、"Long Black Veil"。力強く伸びる 彼女の歌声がかっこいい。 Sally Timms And The Drifting Cowgirls "This House Is A House Of Trouble" (T.I.M., 12MOT6, '87, 12EP) - A1)This House Is A House Of Trouble (featuring Marc Almond) B1)The Anchor Of Love 2)My Little Pony Marc Almond (ex-Soft Cell)とのデュエットであるこの曲は、夫婦 (もしくは 同棲している恋人) の痴話喧嘩を、歌にしたもの。ブンブンいうベースとギク シャクしたドラムがたたき出すファンクのリズムに乗って、2人がデュエトならぬ 喧嘩を演じてみせる。loveという言葉の意味を思わず再考させられるような、 辛辣というかやるせない曲である。 Sally Timms And The Drifting Cowgirls "Somebody's Rocking My Dreamboat" (T.I.M., MOTLP021, '88, LP) - A1)Horses 2)I Live With A Happyman 3)Rhinestones 4)When It's Late 5)Chained To The Anchor Of Love B1)Justine 2)Down From Dover 3)Mombassa 4)Queen Of An Unfinished Room 5)Butcher's Boy この2枚のシングルを受けてのアルバム。当時のMekonsは、アルバム"Fear And Whiskey" (Sin, '85)、"The Edge Of The World" (Sin, '86)、"The Mekons Honky Tonkin'" (Sin, '87)、"So Good It Hurts" (Sin, '88)と、カントリー 色濃い素晴らしい作品を続けて発表しているのだが、それらとも繋がる音だ。 もちろん、メンバーも共通しているのだが。ぜひとも、2枚のシングルの曲を 追加収録してCD化してほしいものだ。 このSally Timms "To The Land Of Milk And Honey"はScoutというレーベル から出ているのだが、その1枚目が、どうやらBarbara Manning "Sings With The Original Artists"らしい。The Original Artistsというのは"Signal Path" (Feel Good All Over, '93)も出しているStuart Moxhamのバンドのことだろう。 ぜひとも聴いてみたいのだが、まだ店頭では見ていない。 95/3/19 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕