なんとなく納得がいかないと思いつつ聴いているTFJです。紹介が遅れてしまった Steve Colemanの新作2枚。 Steve Coleman & Five Elements "Def Trance Beat (Modalities Of Rhythm)" (Novus, 01241 63181-2, '95, CD) - 1)Flint 2)Vertipliable Pedarory (From Pedarory And Confirmation) 3)Dogon 4)Multiplicity Of Approaches (The Afrikan Way Of Knowing) 5)The Khu (Divine Will) 6)Pad Thai 7)Jeannine's Sizzling (From Fire Revisited And Jeannine I Dream Of Lilac Time) 8)Patterns Of Force 9)The Mantra (Intonation Of Power) 10)Salt Peanuts - Produced by Steve Coleman, Recorded 94/6/14-7/17 - Steve Coleman (as), Andy Milne (p), Reggie Washington (b), Gene Lake (dr), Ravi Coltrane (ts), etc まずはFive Elementsの方。フロントがサックス2本のピアノ入りカルテット。 (もちろんゲストはいるけれど。) テナーのRavi Coltraneというのは、John Coltraneの息子だったと思う。 僕のジャズに関する拙い知識と耳に基づく理解では、M-Baseというのは変拍子で いかに踊らせる音を出すかという理論だと考えているのだが、やはりM-Baseっぽい リズムの音だ。すこしラテンぽいリズムを使っているようにおもう。 ベースはエレクトリックだけと、ピアノの音もあるのかアコスティックバンドの ように聴こえる所もあり、耳触りが良い。コードのパートがギターだと、もっと ファンク/ロックぽくなるのかなとも思う。(本当か!?) 表紙はジャスの作品にはあまりない感じ。ラップかソウルの売場の方が違和感ない 表紙だ。それもなかなかきまっている。 この作品だけなら、今度のSteve Colemanはなかなか良いじゃない、と思うのだけ れども…。 Steve Coleman & Metrics "A Tale Of 3 Cities, The EP" (Novus, 01241 63180-2, '95, CD) - 1)Be Bop 2)I Am Who I Am 3)Science 4)Get Open 5)Slow Burn 6)Left To Right - Produced by Steve Coleman - Steve Coleman (as), Andy Milne (p), Reggie Washington (b), Gene Lake (dr), Michael Wimberly (perc), Ravi Coltrane (ts), Ralph Alessi (tp); Utasi, Sub-Zero, Shahliek, Kokayi, Black Thought (rap), Najma Akhtar (vo) ほぼ同時にでたSteve Coleman & Metrics名義の作品は、EPとあるが40分以上ある。 (Henry Threadgill "Carry The Day" (Columbia, '95)が、これより短いという のも納得いかないが。) 実はこれはラップの作品だ。 録音もFive Elementsの"Def Trance Beat"とほぼ同時で、メンバーもFive Elements のメンバーを中心に、ラッパーを4人(とゲスト)を加えたような構成になっている。 An "M-Base" Productionということだが、変拍子でラップをしているわけではない。 ラップ作品として面白いかというと、比較的平凡な作品だと思う。たいしてラップを 聴いてきているわけじゃないけれど、例えばMichael IveyのBaseheadやB.Y.O.B.の ようなラップグループの方が、オルタナティブだと思う。もちろん、リズムも 重いし、ピアノの使い方とか印象的ではあるけれども。 けれども、最も納得いかないのは、どうしてこの2枚を別々にリリースしたのか、 ということ。80年代後半くらいのSteve Coleman & Five Elementsなら、ラップ だけじゃなく女性ボーカルものとかまで、一つの作品にぶちこんでしまっていた と思うのだが。この2作も表紙の構想からして同じ色を持っているだけに、こうして 2つに分けた意図がなんとなくわかるようでわからないのが気になる。 95/4/18 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕