Peter Laughner & Friends "Take The Guitar Player For A Ride" (Tim/Kerr, TK93CD043, CD) 最近入手したのだけれどもCat. No.やライナーノーツからして93年リリース かと思っていた。が、"Pulse!"誌May 1995号で取り上げられた[1]。それに よると、長らくリリースが遅れたということのようだ。 Peter Laughnerは知る人ぞ知るCleveland出身のPere Ubuの伝説的な創設時の メンバーだったが、77年に24歳の若さで死んだ。Pere Ubuの1st "The Modern Dance"は77年11月の録音、B面1曲目の"Life Stinks"が彼の曲ということで 名前が見えるが、Pere Ubuのメンバーとにはその名前はない。僕がPeter Laughnerのことを知ったのも、グリール・マーカスの評論[2]を通してだった。 このPeter LaughnerのCDは、彼が70年年代半ばから77年の間にDavid Thomasら と録音した、ホームレコーディングやデモテープ −彼はスタジオ盤を残して いないらしい− を編集したものである。 Pere Ubu "The Modern Dance"で演奏された"Life Stinks"などまさにPere Ubuと いう感じだが、ギター一本で弾き語りしているThe Velvet Underground風の フォーク調の曲も目立つ。録音の質からして元祖ローファイと言いたくなる ような雰囲気もあるが、緊張感のあるなかなか味わいのある作品だ。Pere Ubu なんてバンド知らないという人にも、聴いて欲しいCDである。 さて、このCDをリリースしているPortland, ORの独立系レーベルTim/Kerrは、 去年、The Raincoats "Fairytales - The Best Of The Raincoats"というLPを アナログのみでリリースしてもいる。このLPは店頭でみかけもしていないので、 内容がどういうものかは不明であるが。こういうポストパンクの昔の音源を 発掘して編集盤を作るのに力をいれているのだろうか? Pere Ubuといえば、Londonの独立系レーベルCooking Vinylがボックスセットを 予定しているという。内容は不明なのだが楽しみである。Pere Ubu "Story Of My Life" (Imago, 72787-21024-2, '93, CD)も素晴らしい作品だったが、 その後の活動を聞かないのが気になるが。 [1] Scott Schinder: Pinup and Pure-pop Messiahs, Pulse, No. 137, May 1995, pp.91-92. [2] グリール・マーカス: ペア・ウーブーのあっぱれなパンク的ざわめき, ミュージック・マガジン, 1993年8月号, pp114-116. 95/5/8 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕