Massive Attack "Protection" (Wild Bunch, '94)のヒット?で、trip-popと いう言葉が充分に定着したようだ。乱暴に言ってしまえばダブ/レゲエを基調に してソウルやブルースの隠し味を効かせたポップとでもいうべきものなの だろうが。Massive Attack "Protection"は今でも愛聴しているが、他の trip-popといわれるものは特に食指が伸びるほどでもない。 といっても、UKから出てくる最近の音楽としては最も波長が合う興味深い シーンなので、Bristol一派といわれるものを中心に、なんだかんだ言って 買っている。 Mo Waxレーベル界隈とか、techno寄りの所ではWarpレーベルのThe Black Dog、 The Sabres Of Paradiseなど気になる所もあるのだが…。technoやjungleとの 境界あたりというのは、特に面白そうなのだが。 というわけで、お薦めというわけでもないが、去年末くらいから聴いている 音を少しずつ概観していこうと思う。 Portishead "Dummy" (Go! Beat / Go! Discs, 828 553-2, '94, CD) Bristol出身のGeoff BarrowとBeth Gibbonsの二人によるプロジェクト。 去年末以来何かと同郷のMassive Attackと比較されているが。それほど似て いるとは思わない。ベースのレゲエ色がほとんど感じられないのだ。 ダブという感じもほとんどしない。 よく街を歩いていると"Sour Times"を耳にするのだが、それを聴いていつも 思い出すのはCocteau Twinsだ。女性歌手の歌声は呟くようで決してLiz Frazer程にエキセントリックではないのだが。 Bjork "Post" (Mother, 527 733-2, '95, CD) 僕がThe Sugarcubes "Birthday" (One Little Indian, '87)を聴いたときに まず思い付いたのも、Cocteau Twinsだった。Bjorkのエキセントリックな 歌声がLizを思わせた。 そのBjorkも、ソロになってBristolの鍵人物Nellee Hooperの制作でアルバムを 作るようになってからは、trip popの歌姫といった感もある。このソロ2作目も Nellee HooperやTrickyといったBristol一派の人たちの制作で作っている。 Bjorkの歌声は依然としてエキセントリックだが、最初に聴いたときほどLiz っぽく感じないし、むしろ独自の歌声といえるかもしれない。背景の音から しても、Cocteau Twinsを感じさせるものはあまりない。 が、このPortisheadやBjorkの作品を聴いていて思うのは、Cocteau Twinsや そのフォロワー (Greil Marcusは"dream pop"と呼んでいたが。) との、ある 意味での類似性だ。Cocteau TwinsがNellee Hooper制作でシングルを出したら かなりハマるような気がしてならない。そもそも、"Garlands"の頃の引きずる ようなベースラインと深い残響はまさにレゲエ/ダブ的とも言えるものでも あったのかもしれない。 (続く?) B.G.M.: The Sugarcubes "Birthday" Portishead "Sour Times" 95/8/24 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕