The Exは80年代初頭から活動するAmsterdam, Holland出身のポストパンクの ロックバンド。The Pop GroupやCrassに影響を受けたスクワッターのバンド であり、「政治的」なバンドである一方、最近は特にトラッドの影響を強く 受けた音楽性を持っている。 80年代初頭からMekonsなどのUKのポストパンクバンドと交流が深い一方、 Han Bennink, Ab Baars, Wolter WierbosといったHollandのフリージャズ 集団ICP (Instant Composers Pool)との関係もある。最近は、NYフリーの Tom Coraと共作を続けている。地味ではあるが、非常に興味深い活動と、 緊張感の高い演奏を続けているバンドである。 彼らを歩みを良く知るには、John Corbettの"Extended Play"に収録された 素晴らしいインタビューをお薦めしたい。 付録付き7"singleを大量にリリースしており、かなり変則的なリリースが 多いのだが、アルバムはほとんどCD化されている。日本では、音盤の入手は かなり困難である。直接通販で買うのが確実に入手する方法だろう。 さて、最近にやっと届いたものを紹介しよう。 The Ex "Joggers And Smoggers" (Ex, EX040/041D, '89, 2CD) Tom Coraとの共作を始める前の'89年に作られたCD2枚組の大作。たくさんの ゲストミュージシャンを迎えた作品として知られるものである。 Lee Ranaldo, Thurston MooreのSonic Youth勢、Ab Baars, Wolter Wierbosと いったフリージャズでは有名なICP (Instant Composers Pool)の界隈の名前も 見える。よくわからないオランダ人らしき名前もたくさんある。 ノイズ的なギターの使い方といい、ちょっとオフ気味のボーカルといい、 フリージャズ風味が強めに効いた(当時のonic Youthに近いものを感じる。 といっても、ゲストがたくさんいるだけあって、非常に雑多な音楽性が 放りこまれている。そういう点では、CD2枚を一度に聴き通しても、あまり 飽きない。が、決してポップな作品ではないので、ノッていないときつい。 The Ex "Dignity Of Labour" (Ex, EX010/013D, '83/'95, CD) これは83年に発表された伝説的な7" single 4枚組をCD化したもの。ブック レットとポスターが付いた箱入りの丁寧な仕上がりになっている。 初期の代表作と言われるだけあって、非常に緊張感溢れるポストパンクの ロック作品となっている。類似の音を持つバンドをぱっと思い付かない、 個性的な音を持っていると思う。強いていえば、縦ノリ感のないThe Fall、 といったところだろうか。 The Ex "Slimy Toad / Jake's Cake" (Ex, 6.1, '91, 7") The Ex & Brader "Ceme Ryne / Millitan" (Ex, 6.2, '91, 7") The Ex "Hidegen Fujnak A Szelek / She Said" (Ex, 6.3, '91, 7") The Ex & Guests "BIMhuis 290691" (Ex, 6.4, '91, 2 7"s) The Ex, Kamagurka & Herr Seele "This Song Is In English / Dit Lied Is In't Engels" (Ex, 6.5, '91, 7") The Ex "Euroconfusion / Bird In The Hand" (Ex, 6.6, '92, 12") 紙袋やらレコードボックスやらパンフレットやらいろいろな付録が付いた 7"シングルの6連作。4番目が2枚組、最後のものは12"になっている。 "BIMhuis 290691"は、ICPと一緒に有名なジャズライブハウスBIMhuisで やった伝説的なライブを収録したものだ。 惜しむらくは、輸送の状態が悪かったか、どれも針飛びするほど盤面が 反ってしまっている。付録だけでも買った価値はあったと思っているが。 (保管場所には困るが。) 願わくば音だけでもCD化して欲しい。 The Exのロゴが白く前後に入ったXLの黒いTシャツも買った。これはとても かっこいい。気にいった。 また次の注文をしようと思うのだが、もし興味がある人は連絡を下さい。 B.G.M.: The Ex (or Mekons) "Keep On Hopping" 95/8/24 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕