はい、こちらTFJです。reggaeに限って'95年を振り返ると、再発CDをよく聴いた 一年だった。Blood and FireやPressure Soundの再発に触発されたこともあるが。 というわけで、'95年新録の作品はどうしても印象が薄いのだが、'95年初頭に 入手したVarious Artists "Dub Revolution" (ROIR, 8207, CD, '94)は、そんな 中で、新しいUK reggaeの動きを感じさせるところがあって、とても興味深く 印象に残っている。 6月にそのオムニバスに収録されているような界隈のバンドのレコードを数枚 買ったのだが、アナログ盤ということもあってなかなか聴き込むことができな かった。アナログ盤はなかなか聴く機会がとれないので、買うときも敬遠しがち ということもあり、Alpha & OmegaのCDを買うくらいで、なかなかさらに食指が 伸びなかった。 そんな中でも、今年最も印象に残ったreggaeに分類される新録作品はこれだ。 Centry meets The Music Family "Release The Chain" (Couscious Sounds, DNC004, '95, LP) - A1)Release The Chain 2)Friend Or Foe? 3)Rockers Stand Guard 4)The Longest Day 5)The Testament B1)Saturday Steppers 2)Phases Of The Moon 3)Dub Tropicana 4)Centry's Freedom Song 5)The Ourlaw - Produced by Nigel Lake, Chris Petter & D. Wardrop - Daniel Spahni (dr), Nigel Lake (b,g,perc), Chris Petter (key,trom,perc), Jon Petter (ts,congas), Adam Bernes (ss) Zion TrainのThe Wibbly Wobbly World Of Musicと関係深いConscious Sounds からのバンドの95年5月頃にリリースされたアルバム。 1曲目からNirvana "Smell Like Teen Spirit"のベースラインを使った表題曲 "Release The Chain"。曲も重さが格好良い。On-U SoundやJah Shakaのような 曲もあるが、reggaeというよりpostpunkのrockやtrip popに近い感触もある。 例えば、ノイジーなリードギターが残響と共に舞う"Rockers Stand Guard"など、 歌手のいない初期のCocteau Twinsのようだ。"Dub Tropicana"のサックスは、 jazz〜fusion風味だが、最も印象に残るのは最後の"The Outlaw"のフラメンコ 風のギター。Khaledがraiでこのようなギターフレーズを使ったのにとても似て いる。KhaledやCheb Tatiの場合、reggae流儀の構成や音処理を多く導入して いるのこともある。実際、Cheb Tati "El Hamman" (Bloo Moon Prod., BM125, '89の制作はDennis Bovellだ。 通して聴き終わってもあまりreggaeを聴いたという気はしないが、ちょっと 覚めた重めの曲調といい、使われている楽器やその音色といい、はっとさせる ような緊張感を作品全体を通して感じさせてくれる。とても良い作品だと思う。 ライナーノーツを読むと、限定でリリースされた"Release The Chain"の12"は、 The Dust Brothers、Coldcut、John PeelといったCDによってよく使われた らしい。reggaeファンだけでなく、alternativeなrock/popやtechnoを好んで 聴く人たちにも聴いて欲しい、そんなアルバムだ。 95/12/26 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕