かなり節操のないレーベルであるAriwaだが、多様な音楽性の中でもラヴァーズ・ ロックはSandra CrossやKofiなどの専属に近い女性歌手によって比較的目立って いる。ここでは、'92年にAriwaからリリースされた、女性歌手のラヴァーズ・ロック 作品を紹介する。Carroll ThompsonもSusan CadoganもAriwa以外で活躍してきた 女性歌手で、むしろ彼女らを迎えての企画盤という感もある。 Carroll Thompson "The Other Side Of Love" (Ariwa, ARICD077, '92, CD) - 1)The Other Side Of Love 2)I Go Week 3)Lovers And Stranger 4)Move Me 5)Walk Away 6)Unity 7)Show Some Love Where Is The Love (feat. Macka B) 8)Where Were You 9)A Natural Woman 10)Rock Me Gently - Produced by Mad Professor - Carroll Thompson (vo), Eddie Brown (b), Black Steel (b,ds,key,g), Leroy Maffia (b,key), Victor Cross (b,key), William The Conqueror (b,key), Errol The General (ds,g) Susan Cadogan "Soulful Reggae" (Ariwa, ARICD080, '92, CD) - 1)Lovers And Stranger 2)Emotions 3)La La At The End 4)Always 5)Say A Little Prayer 6)That Particular Something 7)Together We Are Beautiful 8)Baby Come Back 9)Let's Stay Together 10)Be My Baby 11)Band Of Gold - Produced & Mixed by Mad Professor. Arranged by Black Steel - Susan Cadogan (vo), Black Steel (b,ds,g,key,bvo), Victor Cross (ds,b,key), Eddie Brown (b,ds), Sandra Cross (bvo), Maureen Mullings (bvo), Sister Audrey (bvo) この2枚には、"Lovers And Stranger"という同じ曲が含まれており、それを比較 すると面白い。かなり作りの違う作品だ。 Carroll Thompsonの作品は、彼女の歌声に癖がないうえ、編曲もリズムの三拍目に アクセントのある軽快なものになっている。レゲエというよりポップス的な感 すらある。女性のラヴァーズのものとしては、よくできているのだろうが、決め 手に欠ける感もある。B.G.M.として流しておくにはそれなりにおしゃれなものに なるだろうが。 一方、Susan Cadoganの作品は、彼女のファニーな歌声の分に加えて、Black Steelの 凝った編曲の曲が耳につく。といっても、ラヴァーズロックの甘いレゲエ曲では あるのだが。特に、奇妙なコード進行に加え変拍子の"Say A Little Prayer"が、 その極みかもしれない。といっても、あまり実験的とかそういう感をさせずに、 口当たりよく聴かせてしまう音にしてあるところが、Ariwaなのだろうか。ここ までするなら、もっと癖のある作りにしたらいいのに、と思ってしまう。 というわけで、どちらも決め手に欠ける作品である。 96/2/18 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕