'Marylin Crispell, Tim Berne "Inference" (Music & Arts, CD-851, '95, CD) - Recorded on 92/6/25 - Marylin Crispell (p), Tim Berne (as) Crispell, Broetzmann, Drake "Hyperion" (Music & Arts, CD-852, '95, CD) - Recorded on 92/6/25 - Marylin Crispell (p), Peter Broetzmann (saz,cl,tarogato), Hamid Drake (ds) Marylin Crispell, Barry Guy, Gerry Hemingway "Cascades" (Music & Arts, CD-853, '95, CD) - Recorded on 93/6/26 - Marylin Crispell (p), Barry Guy (b), Gerry Hemingway (ds,vibraphone,gamelan) Marylin Crispellがdu Maurier Ltd. Int'l Jazz Festival, Vancouverに残した 演奏が経て続けて3枚、Berkeley, CA, USのレーベルMusic & Artsから出た。2枚が 92年で、1枚が93年のもの。 Cecil Taylorと比較されることの多い強いタッチで現代音楽的なニュアンスの強い フリー即興を演奏するMarylin Cripsellだが、Cecil Taylorほどのスウィング感は なく、そのぷっつんキレ具合はむしろ70年代末から共演しているAnthony Braxton 譲りのように思う。この3枚で聴かれる演奏もその類のものだ。 比較的変則的な編成の92年の2枚よりも、93年の普通のピアノトリオでの作品が 良い出来だと思う。彼女のトリオといえば、Anthony Braxton Quartetのリズム隊 でもあるGerry HemingwayとMark Dresserとのが最も良いように思うが、これは Dresserの代わりにイギリスのBarry Guyを迎えたトリオとなっている。一致する 曲名がないのだが、聴き覚えのあるフレーズが飛びだしてくる。安心して聴かれる 作品だ。そこが物足りないところでもあるのだが。 Broetzmann, Drakeとのトリオは、2人に煽られていつもとは違う演奏が聴かれる かな、と思ったけれども、ピアノが弱い。録音のバランスが悪いのかもしれない。 予想されたことだが、Tim Berneとのデュオが最も辛気臭い。 彼女の自由なピアノ演奏は、その構成を選ばない強さがあると思うのだけれども、 こうして続けて聴くと、結局、普通のピアノトリオ作品が最も面白かった、と いうのは、なんとも皮肉だ。ファンなら3枚とも買ってもいいかもしれないが..。 ちなみに、Music & Artsからはしばらく間をおいてMarylin Crispellのソロが リリースされた。多作な人だ。 96/2/18 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕