豊住芳三郎 with Marcio Mattos Mary Jane, 渋谷 96/4/30 21:00- いきつけのジャズ喫茶Mary Janeで5〜6年ぶり (マスター談) というライブがあった。 僕が行くようになってからは、もちろん初めて。以前からここで生演奏が聴きたいと 思っていたので、楽しみだった。 用事を終えて店にかけつけたのが20時前。既にMarcio Mattosは来ており、店内の 机の移動がかなり進んでいた。まずは会場作りの手伝い。暖房機や絵画類を店先に 止めてある車に運び出し、椅子や机のならべ直し。余った椅子や雑誌ラックなどは ドア脇に積み上げたり。20時半前頃に、豊住芳三郎が来た。今度はドラムの搬入の 手伝い。「お客さんだろ。悪いねえ。」と言われてしまったが。開演前までは客じゃ ないかも。客がぼちぼち来はじめたというのに、主催者が現れない。開演時間が かなり近くなってやっと現れたが。 Mattosは夫人連れで、来日中に陶芸展に見にいきたい、と言っていた。マスターが さっそくいろいろ教えていたが。 21時の開演時は若干空席があったが、結局ほぼ満席、客は20名程度はいただろうか。 Peter Broetzmannのライブで一緒になった人もいた。初めて会う人に、今年で最後 だというMoersのジャズフェィティヴァルのプログラムのコピーを貰ってしまった。 実は、豊住芳三郎、Marcio Mattos共に演奏を聴くのは初めて。豊住芳三郎 (Sabu Toyozumi) の名前はフリー界隈でよく見ていたのだが。店内の壁まで駆使しての フリーのドラミングだが、とてもリズミカルでノリがいいというのが、このライブ での印象。爆音があまり聴かれなかったのは、場所と相手の楽器を考えてのこと だろうか。 Marcio Mattosはイギリスのフリー即興界隈で活動しているらしいブラジル出身の cello奏者。Future Musicにサイドメンとして参加している作品があることに少し 調べて気付いた、という程度の予備知識。フリーのcello奏者ということでTom Cora、 Tristan Honsingerあたりを予想したが、もっと繊細な印象を受けた。といっても フリーキーな音を多用した演奏だが。ピックアップをつけて、ループなどを使って いるようだったが、感触はほとんど生音。弦に棒を挟んで音を変えて演奏したり もした。 あと、主催者が「古事記」の朗読などを少々演奏にあわせてしていたが..。 爆裂フリー対鋸引セロの壮絶な死闘、のようなものは最初から予想しなかったが、 リズミカルで楽しい演奏だったと思う。演奏は21時から30分余りの演奏1セット。 長い休憩を挟んで、30分余りの演奏をもう1セット。終わったら23時であった。 朝5時起きの疲れが出てきたので、「後片付け、がんばって下さい。」とマスターに 言い残して帰った。 さて、ライブの際にMarcio Mattosの参加したCDが数タイトル売られていたので、 最も面白そうなものを1枚買ってみた。 Ntshuks Bonga's Tshisa "Urban Ritual" (Slam, SLAMCD213, '95, CD) - Ntshuks Bonga (as,cl,vo), Marcio Mattos (cello,b), Ken Hyder (ds,perc,vo) - Recorded on 94/9/30, 94/12/15 Ntshuks Bongaは南アフリカ出身のreeds奏者。Dudu Pukwanaに捧げる曲もあり、 彼の影響大かな。Mattosはbassも弾いているけど、celloだと若干軽く感じる。 歌声も呪術的で面白い作品。 発見は録音にDave Huntの名前をみつけたこと。おそらく、80年代前半にPigbag、 Rip Rig + Panic、Maximam JoyといったThe Pop Groupの残党の録音制作をして いた人だ。最近はこんな仕事をしていたのか。 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕