Evan Parker 世田谷美術館, 世田谷区砧公園 (用賀) 96/5/1 15:00- 4月25日にも宮城県立美術館で無料コンサートをやったEvan Parkerだが、世田谷 美術館でもあるとのことだったので、行ってきた。 世田谷美術館は現代美術の展覧会をよく開催するので、よく足を運ぶ美術館だ。 3月までやっていたイギリスの現代美術家Richard Longのコンセプチュアルな作品 展示を背景に演奏したら最高だったろうに。今は、10周年ということで「世田谷の 美術」展だし、会場も講堂だし。世田谷美術館というと、二年前に聴きに行った John Zorn作曲の現代音楽曲の演奏会という忌まわしい思い出も無いわけではない。 ただ、今回は本人の演奏ということだし、無料というのも嬉しい。 14時20分頃に世田谷美術館に着いたら、既に長蛇の待ち行列。先着180名にあぶれた かな、と一瞬思った。とりあえず列の最後尾についたが。僕の後ろについた女性に 「並ばせている、ってことは、まだ大丈夫なんですよね。」と尋ねられたが、僕も よくわからない。結局、最前二列に座布団席を増設して、来場者は全て入れた ようだったが。ということで、200名程の観客がいただろうか。客層は「美術館の 無料コンサートだから来てみました」という客が半分、フリージャズ前衛音楽好き 半分といったところ。 今回の日本講演は、仙台のJazz and Nowが呼んでの中村邦雄氏の追悼ということ。 ちょうど最近Ah Umレーベルから追悼のソロCDが出ており、このCDに収録されて いるだろうような演奏をするのだろうかとは思っていたが、結局入手せず、という ことで、予習は無し。 こぎれいな扇型の講堂で要の位置のライトアップされたステージでの演奏という ことで、ちょっとした演奏会という上品な感じは、あまり好きではないのだが。 演奏は全てソロで、順にsoprano sax (ss)、tenor sax (ts)、ss、休憩を挟んで ts、ss、さらにアンコールでss。全部で2時間弱だった。とにかく、ノンブレス (サーキュラーブリージング)を使いまくる演奏で、特に前半最後のssのソロは結局 一回もとぎれなしだったと思う。短いフレーズを微妙に変化させながら繰り返して いく演奏で、ミニマル音楽を思い出させたほど。催眠的ですらある。そこまで ノンブレスにこだわらなくていいじゃないか、と思ってしまった。間を使った 演奏も聴きたかった。 コンサートが終わって美術館を出たとき、傘を持たず雨に打たれながら帰ろうと する女性がいたので、傘を差し出して、車があるという駐車場まで送ってあげた。 そのときに、「フリージャズって、聴くの初めてなんですけど、いつもこんな感じ なんですか。」と尋ねられて返事に窮してしまった。「今回はノンブレスばっかり だったですね。」とか答えてしまった。間違えてもCompanyは勧めないけど、 Kenny Wheeler "Around 6" (ECM, '79)で聴かれるような爽やかな Evan Parker から入るのが、こういう人にはいいんだろうか..。 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕