Matthew Shipp "Symbol Systems" (No More, No.1, '95, CD) - Recorded on 95/11/22 - Matthew Shipp (p) David S. Ware QuartetでCecil Taylorばりの演奏を聴かせるピアノ奏者のソロの 新作が出た。 去年に出たリーダー作 Matthew Shipp Quartet "Critical Mass" (213CD, '95)が 比較的現代音楽的な印象を受けたのだが、このソロでは、その部分をさらに拡大 したようになっている。強いタッチの片鱗は感じさせてくれるが、かなり繊細に 弾いている。スウィング感がほとんど無いのは、リズミカルに速弾きしている所が 少ないから。曲も短めで断片的。あまりのめり込める気がしない。 流れるように旋律を弾くよりも、和音をガンガン弾いたり単音をポツポツ弾くので、 打楽器的な感じも受ける。ときにチェンバロのような変な残響が聴こえるのは、 プリペアドなのだろうか。こういう打楽器的なピアノの変な所は好きだが。 というわけで、B.G.M.にしておくくらいだといいとは思うのだが、ちゃんと向かい 合うにはいまいち押し引きが物足りない。この人はWilliam ParkerやWhit Dickeyに 煽られるくらいで、丁度良いのだろうか。 この作品はNo Moreというレーベルの第1弾のリリースだが、第2弾はなんとAnthony BraxtonのピアノソロCD2枚組である。これはあまりに恐くて手が出せないでいる のだが。今後、どういうリリースをしていくのか、興味深いものがある。No More というのは、どういうレーベルなのだろうか。 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕