Gang Of Four "Song Of The Free" (Infinite Zero / American, 9 43067-2, '82/'96, CD) - 1)Call Me Up 2)I Love A Man In Uniform 3)We Live As We Dream, Alone 4)It Is Not Enough 5)Life! It's A Shame 6)I Will Be A Good Boy 7)The History Of The World 8)Muscle For Brains 9)Of The Instant 10)The World At Fault 11)I Love A Man In Uniform - Produced by Mike Howlett with Jon King and Andrew Gill - Hugo Burnham (ds,perc), Andrew Gill (g,vo), Jon King (vo,melodica), Sara Lee (b,backing vo) Henry Rollinsの再発専門レーベルInfinite ZeroからGang Of Fourの再発が少しずつ 進んでいるが (EMI UKも少し遅れてだが再発している。)、去年に出た1stと2ndに 続いて82年発表の3rdアルバムがやっと出た。1stと2ndの再発では間に出たミニ アルバムとのカップリングだったが、3rdではシングル"I Love A Man In Uniform"の B面に収録されていた"The World At Fault"とダブが付いている。 Gang Of Four (文革の四人組のこと) は78年にLeeds, Englandから出てきた。 Jon Kingの錯乱したような歌声をAndy Gillのギターがざくざく切裂いた上に、 ギクシャクしたリズム隊が片っ端から叩き落としていくような、そんな緊張感溢れる 演奏が特徴だった。1st "Entertainment!" (EMI, '79)では粗削りな勢いが最高 だったが、2nd "Solid Gold" (EMI, '80)ではダブワイズで遅めのテンポの曲も 毒気が静かに効いてくる作品だった。 この3rdアルバムでは、ベース奏者がDave AllenからSara Leeに変わり、前2作と かなり雰囲気が変わった。音処理もはるかにクリアになり、特にドラムと打ち込みの 鋭さが際立つ。冷徹なファンク色がぐっと出てきた。ダンスフロア向けになった、 とも言える。これは4th "Hard" (EMI, '83)に続くのだが。もちろん、Andrew Gillの ギターは相変わらずだが。 3rdから4thにかけてのGang Of Fourの魅力は、なんといっても"I Love A Man In Uniform"や"We Live As We Dream, Alone" (4th "Hard"であれば"Independence") で 顕著な芝居かかった構成の歌だ。歌の中に複数の矛盾した声があるのだ。Jon Kingは 類型的な成人男性を演じる。それをSara Leeのコーラスが裏切っていく。Andrew Gillの冷徹な歌声はその二者の食い違いを際立たせるナレーションを詠唱する。 演奏を含めて各パートの役割の違いが際立つように構成されている。ファンク流儀の 演奏に煽られた歌が作り出すのは、性別と暴力と経済力の社会機構に関する 「比喩としての討議場」だ。踊りながら考えるための刺激的な音楽だ。 今まで聴いたことが無かった人にもぜひ聴いて欲しいCDだ。 80年代前半EMI / Warner Bros.時代のベスト盤 Gang Of Four "A Brief History Of The Twentieth Century" (EMI / Warner Bros., '90)のライナーノーツで、 Greil Marcusは There was something on the Gang of Four's collective mind, picked up from books, painting (Manet's especially), movies (notably Jean-Luc Godard's Numero Deux), not-so-fast R&B (George Clinton's Parliament-Funkadelic), and Leeds street politics (marches against the neo-Nazi National Front party that ended with the police violence, violent attacks by Front goons on pubs frequented by the likes of the band and their pals the Mekons and Delta 5. と言っている。Gang Of FourはManetの絵とGodardの映画の中に何を見出したのか (Greil Marcusはなぜ関係付けたのか)、Gang Of Fourの歌を聴きながら、最近よく 僕は考える。まるで印象派の絵のような画面のGodardの映画"Nouvelle Vague" ('90)の中に、手掛かりの一つがあるのかもしれない。もしかしたら、その映画の 中でふんだんに使われているECMの音源の中にも手掛かりがあるのかもしれない。 なぜなら、例えば、ECMを代表するNorwayのギタリストが80年代に入りChasersを 結成するときに見出したこととも繋がるかもしれないからだ。Terje Rypdal "The Single Collection" (ECM, '89)のライナーノーツに、 "Maybe if we get some screeming guitar on the next records," he writes, in a letter dated 5/2/80, adding "It's the Eighties now." From his meta- phorical mountain-top observation point he'd charted changes in the mood of popular music. He was interested in post-punk, hard funk, you-name it. とある。こういったことの中に、Gang Of Fourのようなポストパンク・ロック バンドが何を試みようとしていたのか考える手掛かりがあるように、僕は思う。 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕