70年代後半のBlack Ark時代のLee Perryの作品の紹介シリーズの第12弾です。 Lee Perry presents The Jolly Brothers "Concious Man" (Seven Leaves / Roots, RRDC001, CD) - 1)Concious Man 2)Brotherly Love (feat. Hendrick Nicholson) 3)Have A Little Faith 4)Back Biter 5)Cool Down 6)Babylon A Fight Rasta 7)Dread Dreader 8)Play Play 9)Oppression 10)Colour - Arranged and Produced by Lee Perry. Exective Producer: C. Owens. Recorded at Black Ark Studios, JA. Rhythm by The Black Ark Players. The Jolly Brothorsは男性3人組のコーラスグループのようだが、それ以上のことに ついては不明だ。ちゃんとしたクレジットがほどんど無いのだが、音は70年代後半の Black Ark StudiosでLee Perryが制作したと思われるものだ。これがオリジナルの アルバムなのか、編集盤なのかは不明だ。おそらく、アナログ盤は80年代前半に リリースされていたと思われる。 どこかで耳にしたこともありそうなキャッチーなメロディの明るい曲が続く。 残響が効いたコーラスもやわらかい感じがして良い。リズムパターンが三拍目に ちゃんとアクセントの入るしっかりしたものが多く、緩いながらもノリがいい。 この頃のLee Perryの制作の中では、とてもポップだ。 "Cool Down"のメロディをどこかで聴いたことがある、と思ったのだが、Lenny Kaye (ex- Patti Smith Group)の制作したThe Shams "Quilt" (Matador, '92)の 中に収録されていた"Stuck Here On The Ground"とほぼ同じだった。The Shamsは フォーク風の女性コーラスグループだが、意外に雰囲気が似ている、と思った。 クレジットは自作ということになっているが。 欠点といえば、ジャケットデザインが垢抜けないし、詳細なクレジットもなければ、 ライナーノーツも無いということか。レーベルの知名度も低い。なかなかジャケット 買い、レーベル買いしずらい作品だというのが、惜しい。 というわけで、この明るくやさしい歌で、暑い夏を"Cool Down"しよう。 さて、この作品をリリースしているSeven Leavesというレーベルは、80年代前半に Black Ark時代のLee Perry制作の作品の編集盤をリリースしていたUKのレーベル。 また、Seven Leaves / Rootsの名義になっているこのCDは、90年代に入ってから アンダーグラウンドなUKルーツの90s半ばの動きを支えているレーベル/配給会社の 一つRootsレーベルの第1弾リリースでもある。Rootsのexective producerの1人で あるC. OwensがSeven Leavesのexective producerであるということや、Cat. No.の 付き方からすると、Seven Leavesが発展的にRootsレコードになった、ということの ようだ。Seven LeavesからのLee Perryのこの一連の再発は、UKルーツの90sの動きの 出発点の一つといえるのかもしれない。 96/7/8 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕