Talulah Gosh "Backwash" (K, KLP44, '96, CD) - 1)Beatink Boy 2)My Best Friend 3)Steaming Train 4)Just A Dream 5)Talulah Gosh 6)Don't Go Away 7)Escalator Over The Hill 8)My Boy Says 9)Way Of The World 10)Testcard Girl 11)Bringing Up Baby 12)I Can't Get No Sensation (Thank God) 13)The Girl With The Strawberry Hair 14)Talulah Gosh 15)Do You Remember 16)Looking For A Rainbow 17)Sunny Inside 18)My World's Ending 19)Be Your Baby 20)Break Your Face 21)In Love For The Very First Time 22)Spearmint Head 23)I Told You So 24)Pastels Badge 25)Rubber Ball HeavenlyのAmelia Fletcherが在籍していたTalulah Goshのスタジオ録音、ラジオ・ セッションをおそらく完全に網羅したCDがついにリリースされた。ちなみに、 各トラックの音源は以下の通り。 1-2: "Beatnik Boy" (53rd & 3rd, AGAAR4, '86, 7") 3-4: "Steaming Train" (53rd & 3rd, AGAAR5, '86, 7") 5-7: "Talulah Gosh" (53rd & 3rd, AGAAR8T, '87, 12") 8-10: "Testcard Girl" (53rd & 3rd, AGAAR16T, '88, 12") 11-13,15,17: "Bring Up Baby" (53rd & 3rd, AGAAR14T, '88, 12") 1-13: "Rock Legends: Volume 69" (53rd & 3rd, AGAS4, '88, LP) 14-24: "They've Scoffed The Lot" (Sarah, SARAH604, '91, LP) 14-17: Jenice Long Show on 86/8/7 18-22: John Peel Show on 88/1/11 23: b/w Razorcutz "Sad Kaleidoscope" (Sha-La-La, 002, ?, flexi) 24: previously unreleased, recorded live at Talulah Gosh's debut gig 86/3/7 25: previously unreleased, recorded live at the ICA, London 87/6/25 僕がTalulah Goshを知ったのは、Artforum誌87年12月号のReal Life Rock Greil Marcus' Top Tenでだった。Greil Marcusという評論家を知ったばかりだったが、 ちょうどリリースされたばかりの"Bring Up Baby"の12"を見つけて買ってみた。 そして、The Wedding Present "George Best" (Reception, '87)でゲストとして 歌っているAmelia Fletcherのバンドだと、聴いて気付いた。The Wedding Present での高速ギターカッティングに乗ったDavid GedgeとAmelia Fletcherの掛け合いも 大好きだったが、Talulah Goshでの時としてパンク風味のツービートだがギターも 軽快なポップな演奏を背景にしたAmeliaの詠唱も非常に気にいった。 この88年から89年にかけて、Talulah GoshやThe Wedding Present、Close Lobsters、 McCarthyといったバンドを、僕は非常に良く聴いていたのだった。やはり今年に出た McCarthy "That's All Very Well But..." (Cherry Red, '96)やこのCDを聴いていて、 そういうことを思い出して、それから既に10年近く経ってしまったことに、とても 回顧的な気分になってしまった。 Talulah Goshは結局そのライブを観ることは出来なかった。Talulah Goshは解散し、 Amelia FletcherはHeavenlyとして活動していた。Talulah Goshの面影を求めて、 僕はHeavenlyのレコードを買い、'91年の新宿アンチノックでのライブに僕は足を 運んだ。しかし、それまでだった。それ以降急速に関心を失ってしまった。 それは、Amelia Fletcherの歌声やギターポップ流儀の曲に飽きたからではない。 Talulah GoshからHeavenlyになる間に失なわれてしまったものを言葉にするのは 難しい。曲の速度が遅くなり歌い込むようになったことが、彼女たちの曲から 批評性を奪っているのかもしれない。それに伴いAmeliaの歌声も裏声を多用する ようになり、勢いや緊張感が失われたのかもしれない。しかし、そう言うだけでは もの足りないほど、Talulah GoshとHeavenlyの間には落差があるのだ。 だからこそHeavenlyやそれに類する最近の欧米のインディポップを聴いている人に このCDを聴いて欲しいと思う。 96/7/28 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕