Squarepusherほどフッきれていないものの、最近になって単なるdrum'n'bassという
段階を優に越えた面白い作品に出会うようになった。

Jammin' Unit
"Totally Unintelligent"
(Rising High, RSH117, '96, 12")
- A1)Totally Unintelligent (Mad Professor Mix) 2)Totally Unintelligent
(Mad Professor & Dougie Digital Jungle Mix) AA1)Totally Unintelligent (Plug Mix)
- Produced by Jammin' Unit.  Additional remix production by Mad Professor (A1),
Mad Professor & Dougie Digital (A2), Luke Vibert (AA1)

Jammin' Unitについてはよく知らないが、A面がMad Professorによるdub & jungle、
AA面がLuke Vibert (a.k.a. Plug, Wagon Christ)によるdrum'n'bassという12"
シングルがしばらく前にRising Highから出ており、remix陣に惹かれて買ってみた。

A1のdubは最近の"Black Liberation Dub"連作で聴かれるnew roots風のものでなく
80年代っぽい処理。jungleはもちろんraggaっぽいものだが、Mad Professorにしては
普通の出来。というわけで、聴きものはAA面のPlugによるmix。drum'n'bassといわれ
ればそうなのだが、出だしの弦やサックスなどのサンプリングの音色からして外れて
いる。drum'n'bass流儀の打ち込みのパターンが凝っているわけではないのだけれど、
妙にぎくしゃくした展開なのも気にいった。

"Totally Unintelligent"という題も馬鹿で良い。Plug Mixだけでも買いの一枚。

というわけで気にかけていたPlugことLuke Vibertのアルバムが出た。

Plug
"Drum'n'Bass For Papa"
(Blue Angel, ANGEL1CD, '96, CD)
- 1)Me & Mr Jones 2)Drum'n'Bass For Papa 3)Cut 4)Feelings 5)I Freak Techniques
6)The Life Of The Mind 7)Subtle (In Your Face) 8)Delicious 9)Dbc 10)Makers Of All
- All tracks suggested, realized & treated by Luke Vibert

題名通りdrum'n'bassのアルバム。ぼんぼんいうベースの音にしても、上の"Totally
Unintelligent"ほど外れていない。「ジャズ風」のピアノのサンプリングも怪しい
"Subtle (In Your Face)"が、一番雰囲気が近い。やはり、ビートのパターンが面白い
とは思わないが、ジャズ〜ファンク風のブレークビーツが冴えるB面(相当の6曲目以降)
が面白い。最後の"Makers Of All"で聴かれるのはシタールか。会話のサンプリングも
あったりとネタは広そうだが、音がよく整理されて効果的に使われているのが気に
いっている。

Plugはtechno界隈ではAphex Twinと同郷のWagon Christで知られるLuke Vibertの
drum'n'bassでの名義だ。95年にRising Highから3枚12"シングルを出しているよう
なのだが、そのうち最初の2枚を集めたCDと再発2枚組12"が、やはりBlue Angelから
リリースされるよう。Rising Highからの12"は買い逃していただけに、楽しみだ。

96/8/7