Coldcut
"Atomic Moog 2000 / Boot The System"
(Ninja Tune, ZENCDS48, '97, CDplus)
- 1)Atomic Moog 2000 (Bullet Train Edit) 
2)Atomic Moog 2000 (Post Nuclear Afterlife Lounge Mix) 
3)Boot The System 4)Re-Boot The System 5)Atomic Moog 2000 (The Bomb) 
6)Crash The System 7)Atomic Moog 2000 8)Natural Rhythm (RNA-Rom audio vid)
- 1-7)Produced by Coldcut.
2)Remix and Additional Destruction by The Herbaliser.
4)Remix and Additional Prediction by Red Snapper.
5)Remix and Additional Construction by Luke Vibert.
6)Remix and Additional Injection by Bedouin Ascent.
8)Conceived by Hex & Coldcut, produced and edited by Stuart Warren Hill.

The Harbaliser、Red Snapper、Luke Vibert、Bedouin Ascent といった remix
陣も豪華なこのシングルのCDは quicktime / mpeg 形式の動画のついた CDplus だ。
といっても、映像は面白くなかったが。

このシングルには、"Boot The System" だけだが、この手のダンス音楽にしては
珍しく − 歌手をフィーチャーしていればまた別だが − 歌詞がついている。
それに、ライナーノーツに曲に説明をつけている。特に慈善企画盤というわけで
ないのに、だ。関係団体 (Greenpeace や Amnesty International、CAAT) の連絡先
までついている。

ちなみに、"Atomic Moog 2000" は、「政府と軍が、原子兵器、原子力、核実験に
よって地球を汚染し我々を殺していること」についての曲で、Greenpeace らに
捧げられている。一方、"Boot The System" は、「民族殺戮や戦争を広める兵器
取引をどうして政府は許可推進しているのか」問う曲で、CAAT (Campaigne Against
the Arms Trade) らに捧げられている。

慈善企画盤でもないのに、その是非はまた別として − 若干ナイーヴか −、この
ような曲で「民族虐殺 ／ ナイジェリアでの殺人 / 東チモールでの殺戮 /
カンボジアでの混乱 / どうして僕らの政府は戦争を広めるのか? 」という歌詞を
聴くのは新鮮かもしれない。抽象的なものであればないわけじゃなかったが。

ただ、曲や映像から、いまいちこの手のメッセージに見合うだけの緊張を感じ
られない − といっても他の breakbeats モノの平均は優にクリアしているが −
のが、惜しいかな。けど、面白いことになっていくのではないか、という期待も
感じないわけじゃない。特に Coldcut は UK の breakbeats シーンでも最も興味
深い試みをしているだけに、この手の社会性とどう折り合いをつけていくのか、
注目してみたい。

さて、Coldcut といえば、こういう企画盤が出ている。

Coldcut / DJ Krush
"Cold Krush Cuts"
(Ninja Tune, ZENCD26ltd, '97, 2 CD's)
- Disk1)Coldcut "Coldcut & DJ Food Fight" Disk2)DJ Krush "Back In The Base"

Ninja Tune の音源を使ったDJ編集盤。西の Coldcut 対 東の DJ Krush ということ
なのだろうが。いくら Coldcut とはいえ、やはり音源の限定されるといまいちかな。
Warp 音源の "Blech" の方が面白かったかも。

しかし、日本先行で2枚別にリリースされたときは食指が伸びなかったが、輸入の
限定パッケージでもCD 2枚で2,500円余りなら、試しに買う気にはなるかな。うむ。

97/3/2
嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕