月に一枚は現代音楽を、ということで、今回は John Cage の作品の新譜を。

John Cage
"Works For Piano & Prepared Piano Vol.IV"
(Wergo, WER6159-2, '96, CD)
- 1)Five Songs For Contralto ('38) 2)Metamorphosis ('38) 3)Bacchanale ('38)
4)A Valentine Out Of Season ('44) 5)Tossed As It Is Untroubled ('43)
6)Root Of An Unfocus ('44) 7)Music Walk ('58) 8)Jazz Study ('42)
9)Music Walk ('58) 10)Experience ('45-48)
- Recorded between 1986 and 1994.  Produced by Heiner Stadler.
- Joshua Pierce (p); Adria Firestone (vo) on 1,10; Borah Bergman (p) on 9;
Dorothy Jonas (p) on 10; Joseph Kubera (p) on 7,9; Myra Melford (p) on 7,9;
Fumiko Miyanoo (p) on 9

Edition John Cage と題された Wergo レーベルの John Cage 作品シリーズの中の
"Works For Piano & Prepared Piano" シリーズの第4弾は、free jazz シーンで
知られるピアノ奏者の Myra Melford と Borah Bergman が演奏で参加している。
このシリーズは Joshua Pierce というピアノ奏者の演奏によるものなのなのだが、
第3集である、John Cage "Works For Piano, Toy Piano & Prepared Piano Vol.III"
(Wergo, WER6158-2, '91, CD) でも Marylin Crispell を迎えていた。jazz 畑の
ピアノ奏者を用いるのは、制作の Heiner Stadler が jazz 畑出身 ('60sに Tomato
レーベルにリーダー作を残している。) だからかもしれない。

といっても、ピアノ奏者の個性が出るような曲ではないのか、さすが Myra Melford、
Borah Bergman という音は、僕にはわからなかった。

'30s〜'40s という初期の作品が中心なので、The New York School な'50s、
"4'33""のようにコンセプチャルな'60sとはちょっと違うのか、それらよりは
曲らしい小曲が並んでいる。prepared piano が多用されているので、奇麗な
というより鈍い音が目立つが。

題名のせいか有名な曲「季節はずれのヴァレンタイン "A Valentine Out Of Season"」
も収録されている。ライナーノーツにこの曲の由来が書かれているのだが、これが
面白い。もちろん、2月に書かれた曲でないから、ということなのだが。この曲は妻
Xenia に捧げられた曲なのだそうだが、この曲が書かれたときは、丁度、離婚調停中
だったのだそうだ。なるほどー、で、「季節はずれのヴァレンタイン」という曲を
相手に贈るかー、やるなー。うううう。

97/3/30
嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕