Philippe Deschepper "Attention Escalier" (Emouvance, EMV1004, '96, CD) - Recorded 96/3-4 - Philippe Deschepper (acoustic electric and barytone guitars, banjo, E-bow, looping and delay devices, cassette recorder) Yves Robert の quartet で多才な guitar 演奏を聴かせてくれた、France 出身の Philippe Deschepper の solo 。期待を裏切らない出来だ。 50分で23曲、最長7'10"最短26"という展開の速さも Yves Robert と似ているが、 electric guitar で devices かませまくってキーキーガチャガチャやっている 即興曲から acoustic で繊細に南欧風のフレーズを奏でる曲まで、ラジオ放送に 合わせてぐちゃぐちゃ演奏したり、調子っぱずれているか楽しい旋律があったり、 この分裂しまくった展開が実に楽しい。 "Brancusi" (baryton guitar でしっとり聴かせる曲) とか "Tinguely" (acoustic guitar による少し速めのメロディアスな曲) といった美術作家の名を題にした 曲もあり、その作品とのギャップも面白いのだが。 さて、この Philippe Deschepper も参加したこんなCD3枚組が出ている。 Various Artists "ICIS - Les Instants Chaviers Toute La Musiques Improvisee In Situ" (In Situ, IS167-2, '97, 3CD) - CD1)ICIS 1 (Dominique Pifarely + Carlos Zingaro) CD2)ICIS 2 (Dix + Orti) CD3)ICIS 3 (Systeme Frische) - Recorded 96/10/11,12,18,19,22 and 96/11/22,23 In Situ レーベルの主催した Instant Chvires というフェスティバルを収録した もので、Nato、Deax Z、Lebel Bleu といった France の独立系 free improv./ jazz レーベル総出演という感もある。 Guillaume Orti と10名という2枚目や15名編成の3枚目といったビックバンド物は フェスティヴァルならではかもしれないが、ここでは、Louis Sclavis のバンドで 御馴染み Dominique Piferely (vln) と Portugal 出身の Carlos Zingaro (vln) の duo が素晴らしい。strings ならではの緊張感ある中ふと甘くなるような響きが なんとも良い。jazz というより現代音楽といった感もあるが。 最近 France の独立系 free improv. / jazz のレーベルが面白い。というか、 ここにきてそこそこよく流通するようになり、聴かれる機会が増えただけという だけかもしれないが。ひとつに Harmonia Mundi の配給のおかげかもしれない。 ただ、Philippe Deschepper の solo をリリースしている Emouvance はまだ数枚 しかリリースの無い出来て1〜2年のレーベル。他に Barre Philipps の quartet などをリリースしている。 In Situ は90年から活動しはじめたレーベル。97年5月のカタログで22タイトルの リリースがある。過去の音源の発掘もしており、Francois Tasques "1965, Francois Tasques, Free Jazz" (In Situ, IS039, CD) などというものも カタログで見受けられる。あまりいろいろは聴いていないのだが、Steve Lacy "Solo" (In Situ, IS051, '91, CD) は、'85年の素敵な solo が聴かれるCDだ。 というわけで、どちらも今後とも注目していきたいレーベルだ。 97/6/29 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕