Graham Haynes _Tones For The 21st Century_ (Antilles, 537 692-2, '97, CD) - 1)Millennia 2)Nameless River 3)Out Of Phaze / Spirit World 4)Sadguru 5)Simplicity 6)Solo - Produced by Graham Haynes. Recorded 1996 - Graham Haynes (cornet,flugelhorn,trumpet,keyboards); Steve Neil (african harp) on 2; Tracey Morris (vo) on 3; Aaron Lazansky a.k.a. DJ Spazecraft (vo,digeridoo) on 1,3; sounds for the innerself とジャケット内側に書かれているうえ、あの Russell Mills のジャケット・デザイン、Special Thanks には Bill Laswell と Robert Musso ということもあって、もしやと思いきや、完全に「音響派」的な展開に なっていた Graham Haynes の新作。 所々にゲストの声や african harp, digeridoo といった「エスニック」な音が 入るが、実質彼のソロ。といっても、打ち込みをバックに吹きまくる、なんて ものではなく、リズムのようなものはない。生っぽい brass の音すら少なく、 ほとんど原形を留めないほど加工されていて、ambient 風の音の流れになっている。 が、その音やキーボードの音、あと音の展開が古臭く感じるところもあって、 ちょっと前の ambient という感も否めない。 Graham Haynes はもともと Steve Coleman の M-Base 界隈で注目されはじめた トランペット奏者。Antilles に移籍してからの2枚 Graham Haynes _The Griots Footsteps_ (Antilles, 523 262-2, '94, CD), _Transition_ (Antilles, 529 039-2, '95, CD) は、hip hop の影響はもちろん西アフリカ〜地中海の影響も、よく消化 した作品だった。が、ノリの良さもあり、むしろ、今後は drum'n'bass や downtempo な breakbeats 方向に進むのかと思いきや、こうも ambient 化して しまうとは意外だ。 「音響派」的な展開といえば guitar は一般的になっているし、次は brass かと 思わせるところはあるので、Graham Haynes のこのような試みは筋は悪くないと思う。 しかし、この作品は、例えば Mille Plateaux や Sub Rosa などから出てくる音に 比べて中途半端。もっとこの界隈のミュージシャンとして鍛えられて欲しい。 97/8/3 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕