Mouse On Mars
_Audoditacker_
(Too Pure, PURE70CD, '97, CD)
- 1)Sui Shop 2)Juju 3)Twift Shoeblade 4)Tamagnoccchi 5)Dark fx 6)Scat
7)Tux & Damask 8)Sehnsud 9)X-Flies 10)Schnick Schnack Meltmade 11)Rondio
12)Maggots Hell Wigs
- Composed and Produced by Andi Toma & Jan St. Werner, 1996/97
- Digital Soundprocessing on 2 by F. X. Ramdomiz.
Bass on 4 by John Frenett.  Lyrics on 10 by Laetitia Sadier.

先行したシングル Mouse On Mars, _Cache Coeur Naif_ (Too Pure, PURE65CDS,
'97, CD) で、Stereolab の2人の歌手 Laetitia Sadier と Mary Hansen を
フィーチャーしてぐっとポップさを増していた Duesseldorf のデュオの新作は、
Sadier が歌っているのは1曲のみ。というわけで、今までの electro-acoustic
風味の techno だが、ぐっとリズムがくっきりしたので、ポップな仕上がり。

しかし、"Twift Shoeblade" のような、rock 的にバタバタしたリズムに、
俗なメロディが乗る曲など、その微妙なズレ具合がいいのだが、全体通して
聴くと、緊張感が足りないかな。適度なポップさとそれとのズレは、ぼーっと
聴いているのにはいいので、よく聴いているのだが。

Stereolab
_Miss Modular_
(Duophonic Ultra High Fidelity Disks, D-UHF-CD16, '97, CDS)
- 1)Miss Modular 2)Allures 3)Off-On 4)Spiral Column
- 1,4) Produced by John McEntire and the groop.
2,3) Produced by Andy Toma and the groop.
- Tim Gane, Mary Hansen, Richard Harrison, Morgane Lhote, Laetitia Sadier,
Andrew Ramsey; Sean O'Hagan on 1; Andy Toma, Jan St. Werner on 3;
Duncan Brown, John McEntire on 4.

さて、Mouse On Mars にも2人が参加した Stereolab の新作は、John McEntire
(Tortoise) 制作、Mouse On Mars 制作半分だが、あまり Mouse On Mars 色は
濃くはない。

最近の Stereolab の魅力は、従来のロック、ポップの語彙 (左翼的な歌詞、
lounge 的なアレンジ、女性コーラス、リード・ヴォーカル、等) の意図的、
積極的な誤用が生むユーモア溢れる批判精神だと、僕は思っている。
前作 _Emperor Tomato Ketchup_ (Duophonic UHF Disks, D-UHF-CD11, '96, CD) は、
そのちょっと粗い感じの制作がつぎはぎされた感を出し、誤用された語彙の
人工性を際立たせていたと思う。そして、それが良かったとも思う。

しかし、この先行シングル _Miss Modular_ を聴いて、その構成があまりに
なめらかになってしまっているのに、逆に違和感を感じてしまった。これでは、
批判性が薄れてしまうような気もしたからだ。そんなときに、偶然、彼らが
Redding Festival '97 で "Miss Modular" を歌う様子を捉えた映像をTVで観る
機会があった。それは、耳当りのいいポップなんていうものではなく、むしろ
聴くに堪えない演奏の一歩手前というくらいにぎこちないものだった。
そして、これこそ、彼らの本領なのではないか、と、ふと思ってしまった。

Stereolab
_Dots And Loops_
(Duophonic Ultra High Fidelity Disks, D-UHF-CD17, '97, CD)
- 1)Brakhage 2)Miss Modular 3)The Flower Called Nowhere 4)Dagonais
5)Prisoner Of Mars 6)Rainbo Conversation 7)Retroactions In The Plastic Pulse
8)Parsec 9)Ticker-tape Of The Unconscious 10)Contronatura
- 1,2,4,6-9) Produced by John McEntire and the groop.
3,5,10) Produced by Andy Toma and the groop.
- Tim Gane, Mary Hansen, Richard Harrison, Morgane Lhote, Laetitia Sadier,
Andrew Ramsey; Sean O'Hagan, John McEntire on 1,2,4,6-9; Douglas McCombs on 1;
Andy Toma, Jan St. Werner on 3,5,10; Xavier `Fisherfinger' Fischer on 3.

しかし、この先行シングル曲 "Miss Modular" を含むアルバムには、そんな
ライヴでのぎこちない演奏を想像させるものは無い。むしろ、演奏もアレンジも
前作よりぐっとなめらかになっている。少し、Brazil 音楽っぽい要素も加わり、
実に心地好く聴かれてしまう。これでいいのだろうか…。

Turn On
_Turn On_
(Duophonic Super 45s, DS45-CD18, '97, CD)
- 1)Electrocation Of Fire Ants 2)Plasmids 3)Ru Tension
4)United States Of Surrealism 5)Young Cherry Tree Secured
6)Triple Cause Of Poetry 7)Delimiting 8)Glangorous 9)Jumbleo Palipsest
10)Gimmickry Sensational Noax 11)Gimmickry Noax Sensation
- Sean O'Hagen, Tim Gane, Andy Ramsey; Laetitia Sadier on 3

さて、Stereolab の Tim Gane が、Stereolab の string arrangement も
手掛けている The High Llamas の Sean O'Hagen と組んでいるサイド・
プロジェクトが、この Turn On。Stereolab のレーベル Duophonic Ultra
High Fidelity Disks のサブレーベル Duophonic Super 45s から。

歌声が無い分だけ音的には Stereolab より凝ったことをしてはいるが、
歌声があることによる多声性を補うというところまではいっていないか。

Stereolab の2枚同様、ジャケットのデザインは Intro。最近、なかり目立つ
ようになったデザイン・チームだ。Intro といえば、Trojan, Blood and Fire,
Island といったレーベルでの Steve Barrow 編集 roots reggae 再発
シリーズでの仕事を思い出すが、かなり違う作風なので、ちょっと驚き。
Roni Size Reprazent, _New Forms_ (Talkin' Loud, 534 933-2, '97, 2CD)
Can, _Sacrilege_ (Spoon, SPOONCD39/40, '97, 2CD) などと同じ路線の
デザインなのだろうが。 

97/10/19
嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕