Liquid Liquid _Liquid Liquid_ (Mo'Wax, MW078CD, '97, CD) - 1)Optimo 2)Cavern 3)Scraper 4)Out 5)Lock Groove (In) 6)Lock Groove (Out) 7)Push 8)Zero Leg 9)Eyes Sharp 10)Groupmegroup 11)New Walk 12)Lub Dupe 13)Bell Head 14)Rubbermiro 15)Lock Groove (live) 16)Groupmegroup (live) 17)Bell Head (live) 18)Push (live) - 1-4) Originally released as Liquid Liquid _Optimo_ (99, '83). 5-9) Originally released as Liquid Liquid _Successive Rephlexes_ (99, '81). 10-14) Originally released as Liquid Liquid _Liquid Liquid_ (99, '81). 11-13) Recorded live 81/2/13 at Harrah!, NYC. 15-18) Recorded live 82/3/12 at Berkley Square. - Scott Hartley (drums,percussion,talking drum), Richard McGuire (bass,percussion,piano,alarm bell,guitar,melodica), Salvatore Principato (vocals,percussion), Dennis Young (marimba,roto toms,percussion) 80s初頭に NY を拠点に活動した new wave funk バンド Liquid Liquid が 99 レーベルに残した3枚のシングルが、当時の live 音源と併せての CD再発 されている。UK盤は abstract hip hop の代表的なレーベルである Mo'Wax から、 US盤は Beasty Boys の Grand Royal レーベルからのリリースだが、どちらも 同じデザインのちょっと凝った紙のスリーヴ入り。 当時、Talking Heads, _Remain In Lights_ (Sire, '80) の後を受けるかの ように (実際は前後しているが) NY から funk 風味の new wave rock バンドが どっと出てきたのだが、Liquid Liquid もそんなバンドの一つだ。Talking Heads のような主流 pop 風味がないので、音作りもより実験でリズムもぐっと 重く、今聴き比べると Liquid Liquid の方がよく聴こえるかもしれない。 UK からも Y レーベル界隈から Shriekback や Pigbag のような post-punk 期 ならではの硬質な funk のリズムを持った new wave rock バンドが出てきて いたが、そういう音とも共通するものがある。 ぶんぶんいう太い bass と軽い marimba の響きが特徴的な音に、post-punk 期 ならではのエコーがかった詠唱や断片的な歌唱がのる。ある意味で80s初頭の 典型的な音だが、古びてはいない。是非聴いて欲しい。 さて、Liquid Liquid をリリースしていた 99 は、80s初頭に NY で活動した new wave rock 系の独立レーベル。ESG、Bush Tetras といった面白いバンドを 擁していたのだが、同時期に NY で活動していた同じようなカラーを持っていた 独立系レーベル Ze (James Chance, Lydia Lunch, Christina, Lizzy Mercier Descloux, Grace Jones などのリリースに比べ、いまいち影が薄いかもしれない。 99 の音源のうちいくつかは個別に別々のレーベルから再発CD化されているが (例えば、Bush Tetras, _Boom In The Night_ (RIOR USA, RUSCD8218, '95, CD))、 やはり数年前に再発CD化されていて、最近聴いてよかったものがあるので紹介 したい。 Glenn Branca _The Ascension_ (Robi Droli / NewTone, RDC5021, '94, CD) - Prodeced by Ed Bahlman - Ned Sublette, David Rosenbloom, Lee Ranaldo, Glenn Branca (g); Jeffrey Glenn (b); Stephen Wischerth (ds) electric guitar による交響曲で知られる Glenn Branca だが、自身のレーベル Neutral から _Symphony No.1_ をリリースする前に、99 から、シングル _Lesson No.1_ と、アルバム _The Assension_ をリリースしている。それは、 その _The Assention_ のCD化。electric guitar は旋律を鳴らさず金属的な 音色でかき鳴らされ、それが織り成すリズムが独特の雰囲気を出している。 まだ大編成ではなく音数が少ないのだが、それが逆にいい緊張感を生んでいる ように思う。音に無駄ない。Glenn Branca はそんなにいろいろ聴いている わけではないし、どれもそう変り栄えしないけれど、そんな中では良い 出来だと思う。まだ、Sonic Youth 結成以前の Lee Ranaldo が参加している。 ちなみに、_Symphony No.1_ (再発CDは、ROIR / Danceteria, DANCD081) では Thurston Moore も参加しており、ここでの出会いが Sonic Youth 結成の 契機になったと言われている。 99 からのシングル _Lesson No.1_ も同じく Robi Droli / NewTone から 再発CD化されている。(Robi Droli / NewTone, RDC5032, '94, CDS)。 ちなみに、_The Ascension_ のジャケットの絵は Robert Longo によるもの。 裏ジャケットの6人の写真もなかなか面白い。これはどこまで真面目なもの なのだろうか。パロディっぽいように僕は思うのだが、Robert Longo 風の ドラマチック・ポーズ (Robert Longo は倒れかけた人などを写真に撮り、 それをタキシード姿にして絵に起こす、といった作品も作る美術作家。 _The Ascension_ のジャケットもその手のものだし、彼が手掛けた New Order, "Bizzare Love Triangle" のヴィデオ・クリップで宙を舞う男女も、その手の ポーズを捉えたものだろう。) ではないか、と言う人もいるのだが。どうだろう? 97/10/26 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕