Les Elles _Les Elles_ (Boucherie Prod. / Chantons Sons La Truie, BP3212, '95, CD) - Pascaline Herveet (vo), Sophie Henry (p,accordion,vo), Christine Lapouze (violincello), Sarah Auvrey (vo); DJ Rheyi (programming,sample) France 出身 (たしか Normandie。1st には "Made In Normandie" という 曲もある。) の女性4人組の新作 2nd が出た。1st も 2nd もタイトルが無い のだけれども、白っぽいパジャマ姿の女性の絵のジャケットが 2nd である。 piano / accourdion と cello が基調とした簡素なバックに、ちょっと ファニーな感じの女性の歌声が乗る。といっても、ヌーヴェル・シャンソン と言われるほどシャンソンっぽさは感じられない。Pascaline が実質の リードヴォーカルであるが、特に変なコーラス (うーうー、とか) などの 複数の歌声が聴こえることが、ポップにすることなくシャンソンを脱構築 している。もうシャンソンと呼ぶ必要ないだろう。速い曲の速さは性急な ものが多いが、あまり耳障りな音が使われてないせいか、それほどせわし ない感じはしない。programming / sample がクレジットされているが、 dance 〜 techno 的ではなく、効果音的な用いられ方がされているのだが。 しかし、フランス語なので歌詞がいまいちよくわからないのが残念。 "Miss Alzheimer" とか "Les Ciseaux Pointus" (「尖った鋏」) など、 意味深長な題が気になるが。本人たちは自分たちの歌詞を Miossec や Dominique A といった最近のフランスの独立系のポップと比しているよう だけれども。 かつて、The Raincoats や Liliput が、アーアーウーウーいう声によって ロックを脱構築したことを、ふと思い出してしまった。また、まだ若い声を していた Dagmar Krause のいた Slapp Happy のような、ヨーロッパ的な 実験的なポップに似た感触もある。お勧め。 ちなみに、1st は、僕は遡って聴いたのだけれども、 Les Elles _Les Elles_ (Boucherie Prod. / Chantons Sons La Truie, BP3211, '95, CD) - Pascaline Herveet (vo), Sophie Henry (p,accordion,vo), Christine Lapouze (violincello), Sarah Auvrey (vo); Pierre Millet (tp), Bernard Beuneiche (g), Emmanuel Ricard (perc), Francois Hadji Lazro (mandoline,banjo) 青地に女性の顔のジャケットで2年前のリリース。コーラス・ワークなどは 2nd とかわらないが、それほどふっきれていないかもしれない。ゲストの ミュージシャンがいる分だけ、かっちりしてしまっていたのかもしれない。 といっても、2nd が気にいった人なら充分に楽しめるものだろう。 97/11/16 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕