少し前から NADiff でよく B.G.M. でかかっているのを聴いていて、探して いたCDをやっと入手できた。しかし、季刊の雑誌 _Popo_ も置いているのに、 Popo Classic Collection のCDを1枚も置いていないのって、いったい…。 Dragibus _Barbapoux_ (Popo Classic Collection / Saravah, SHP2, '97, CD) - Franq (ds,vo,perc,g,etc), Lore (vo,tambourin), Marcel Univers (el-b), Quentin Rollet (sax,cl) 初めてこのCDがかかっているのを聴いて脱力したのは、"The Animal" という 曲でだった。いきなり、店内に、動物の声やおもちゃのような楽器の奏でる "Johnny, I Hardly Know You" のメロディに乗って、舌足らずな幼い感じの 女性の歌声で歌われた動物マーチが流れたのだ。この "Johnny, I Hardly Know You" を初めて聴いたのは、Easterhouse, _Inspiration_ (Rough Trade, RTT174, '86, 12") というレコードでであり、Billy Bragg, _The Internationale_ (Utility, UTILCD11, '90, CD) ででも "The Marching Song Of The Covert Battalions" という替え歌で歌われている、いわゆる左翼フォーク・ソングだ。 '92年の Billy Bragg の来日ライヴでは「さあ一緒に」と歌わされたのも 懐かしい。そんな歌が、こういうアレンジで歌われているのを聴いて、 茫然としてしまった。 かわいい切り絵のジャケットから想像される音からさほど外れていない、 おもちゃ楽器と幼い感じの女性の歌声からなるヘタウマポップ。約50分で 48曲というのも、なかなか壮絶。Dragibus は Franq と Lore の2人組の フランスのバンド。多くの曲は童謡ベースのようで、それがフランス語だけで なく英語、ハンガリー語、アラビア語、などで歌われている。ゲストの ベースが入った曲はグルーヴ感もありぐっとひきしまって、おちゃらけた The Honeymoon Killers (という80s初頭の Crammed Discs のバンド) という 感もある。おかげて、通して飽きずに聴かれる。また、Rectangle レーベルを 主催する Quentin Rollet も数曲で吹いている。ふっきれ方も気持ちいい ヘタウマポップだ。 このCDをリリースした Popo Classic Collection というレーベルは Pierre Barouh 主催で Aleski や Brigitte Fontaine で知られる Saravah 傘下の レーベルで息子である Benjamin Barouh が最近始めた。第1弾は Etienne Brunet Zig Rag Orchestra, _La Legende Du Franc Rock'n'Roll_ (Popo Classic Collection / Saravah, SHP1, '97, CD) Etienne Brunet は Steve Lacy の弟子の sax 奏者で、この前にも Etienne Brunet Zig Rag Orchestra, _Postcommunism Atmosphere_ (Deux Z, ZZ84116, CD) をリリースしている。旧ソ連兵の写真を使ったジャケットにシリアスな avant jazz rock という印象を持っていたので、ここ Popo からのモダンな ビルの前の赤いスポーツカーの前で踊るミニスカートの女性のジャケットに、 同じバンドの作品だとなかなか気付かなかったという。Jac Berrocal に 捧げる曲もあったりして、この _La Legende Du Franc Rock'n'Roll_ の方が ふっきれている。 97/12/7 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕