David Friedman, Anthony Cox, Jean-Louis Matinier _Other Worlds_ (Intuition, INT3210-2, '97, CD) - David Friedman (marimba,vibraphone,percussion), Anthony Cox (acoustic and electric bass), Jean-Louis Matinier (accordion); Francois Verly (percussion) on 2,3,6,7,11 一昨年にリリースされた Dino Saluzzi, Anthony Cox, David Friedman, _Rios_ (Intuition, INT2156-2, '97, CD) の続編とでも言うべき作品がリリースされた。 David Friedman の乾いて軽いマリンバ、ビブラフォンの響きと重さも控えめな Anthony Cox のベースからなる軽快な背景に、アコーディオンが歌う、といった 構成なのだが、ここでは、アコーディオンが Dino Saluzzi ではなく Jean-Louis Matinier。 アルゼンチン出身の Dino Saluzzi のアコーディオン演奏は、ECM からのソロ 作品でも顕著なように、決してタンゴのイディオムは強くないが、フランスの Jean-Louis Manitier の演奏とこうして聴き比べると、タンゴとミュゼット/ シャンソンの相違がこの2枚に微妙に反映されているような気がするのは、 深読みしすぎか。というより、Saluzzi のタンゴのイディオムの感じがしない 演奏に対し、この _Other Worlds_ に "Tango" というもろにタンゴの曲が あったりするところに、逆にコンプレックスを深読みしたくなってしまう。 しかし、_Other Worlds_ での Manitier は Saluzzi ほど「濃い」ニュアンスの 節回しが無いのでさっぱり目。ゆったりリラックス聴かせてくれる。もう少し、 破綻というか、緊張感があってもいいかな。もっと過激な演奏のできる人だろうに。 Jean-Louis Manitier は Orchestre National de Jazz のメンバーだったことも あるアコーディオン奏者。 Louis Sclavis や Yves Robert との共演も目立つ。 Louis Sclavis - Ray Anderson - Jean-Louis Manitier というトリオでも活動 しているらしく、これなど、どんな演奏をしているのか気になる。 98/1/2 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕