再発で聴く Black Ark 時代の Lee Perry シリーズの第15回は、Clocktower
音源をCD化したこの作品。

Lee Perry
_Scratch Attack!_
(Clocktower / RAS, RAS1415, '88, CD)
- Produced by Lee Perry.  Additional Production by Brad Osborne.

70年代中盤の Black Ark 時代の Lee Perry 制作音源を集めた'80年の編集盤
Various Artists, _Scratch & Company: The Upsetters Chapter 1_ に、
Black Ark 時代の初期の'73年の The Upsetters, _Blackboard Jungle Dub_ を
カップリングしたもの。RASからCD化されている。

_Scratch & Company_ からの曲は、歌やDJが入った曲が半分ばかり。"Come Along"、
"Bush Weed Corn Trash"、"Curly Dub" のような有名トラック曲も収録されている。
聴いた限りでは70年代後半の Lee Perry らしいずぶずぶとした感じの残響と
効果音のある音だ。ただし、_Grand Royal_ 誌の記事によると、80年に
Brad Osborne によって remix されているという。また、CDにはトラックに
アーティストのクレジットが無い。ちなみに、もとの LP のクレジットは
以下の通り。

Various Artists
_Scratch & Company: The Upsetters Chapter 1_
(Clocktower, '80)
- A1)Scratch The Dub Organizer (The Upsetters)
2)Who You Gonna Run To (Johnny Lover & The Towerchanters)
3)Tighten Up (Lee & The Blue Bell)
4)A Serious Joke (Val Bennett & The Upsetters)
5)Little Flute Chant (Brad Osborne & The Towerchanters)
B1)When Jah Come (Extended version) (Devon Iron)
2)Scratch Walking (The Upsetters)
3)Come Along (Lee Perry & The Black Arks)
4)Bush Weed Corn Trash (Ricky & Bunny)
5)Curly Dub (The Upsetters)

_Blackboard Jungle Dub_ の方のトラックは、ちゃんとしたステレオ・ミックスに
なっておらず、ヘッドホンで聴くと左右の音がばらばらに聴こえるので、少々
聴きづらい。オリジナルの Upsetter 盤は、数曲多く、ちゃんとしたステレオに
なっているらしい。'73年リリースということで、Black Ark 期では最初期の
ダブという意味では興味深い作品ではあるのだが。A面B面のオープニングに相当
する曲のギィーという音や動物の鳴き声などの雑多な効果音からして Lee Perry
らしいと思うのだが。このCDで聴く限り、全体としては、音の抜き差しの仕方に
しても普通の (King Tubby 風の) ダブっぽい。オリジナルはもっとちゃんとした
ミックスがなされているのかもしれないが。ちなみに、もとの LP のクレジットは
以下の通り。

The Upsetters
_Blackboard Jungle Dub_
(Upsetter '73 / Clocktower, '80?)
- A1)Blackboard Jungle Dub (version 1) 2)Rubba, Dubba Words
3)Cloak A Dagger (version 3) 4)Dub From Africa 5)Dreamland Dub
6)Pop Goes The Dread Dub B1)Fever Grass Dub 2)Sin Semilla Kaya Dub
3)Moving Forward 4)Blackboard Jungle Dub 5)Kasha Macka Dub
6)Setta Iration Dub

LP 2枚分をCD 1枚で聴かれるという意味ではお得だが、若干不満が残るCDではある。

98/2/8
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕